特注のお仏壇とアートマグネット 「ご先祖を楽しく祀りましょ」 (オーダー家具) [お仏壇とアートマグネット]
ご無沙汰しました!元気いっぱいってわけじゃないのですけど。というのは、学生時代からの課題をクリアしたのはいいけれど、その先の目標も見えてはいるけれど、あまりにそれが巨大で憂鬱になっちゃうのだわねぇ~。おまけにこのところ、予定していた仕事が延期やキャンセルになって、ちょっと凹んでいたのでした、、、。
それでも前に進まなくちゃね。
さて、お仏壇です。
仏壇の決め事みたいなものは一切知らなくてもいいという条件でお引き受けしました。だって、何にも知らないんだもん、、、。(家は神道だし、笑)
扉と背板に複合板にシート貼りでまた、マグネットでアートしちゃいましょ!っていうことです。使い手も祀られる人も、美しく楽しくの方がいいでしょう?ということですね。
出して来たのは月桂樹。アメリカからの輸入材で、現地ではカリフォルニアローレルなどと呼ばれる、クスノキ科の木です。バブルの時代に試験的に輸入されたようですが、個体差が激しく、使いこなすのが難しくて定着しなかったのでしょうね。とある材料屋さんに長いこと在庫していて、kuniはそれを面白がって一時はずいぶん使ったのです。
これはその在庫から選びに選んだ最後の極上材。このお仏壇でこの月桂樹を使った家具は最後でしょう。
写真の木口を見ると、同じ丸太から取られた3枚の板であることが解りますか?これを使ってひとつの家具を作る。そうすると、全体の色目が揃うでしょう?それってものすご~く贅沢なことなのです。
材の表面を濡らしてみました。これが20年以上経過した焼け色です。月桂樹も焼け色がすばらしい材のひとつなのです。ただし、かなり癖があります。
削って、仕上げたその中身の色は全然違うでしょう?これもまた使う人の目の前で育ってゆくことになります。
それにしても色のムラが激しい、でも杢がすばらしい!この写真は完成した棚板なんですけど、棚板までもが、こんなにきれいなんですもの。本体ももちろん、同じ調子の杢ですから、これはものすごいことになりますよ。
ただねぇ、、、その削りが大変!縮み杢ですから、順目と逆目の連続ですし、特にこの月桂樹はねばりがないので、逆目が毛羽立ちやすいのです。こういう時は20年かけて追求して来た研ぎがシミジミ、役に立ちます。
仮組したフレーム(カマチ)です。これをばらすと組み手はダボ組。
それから引き手はkuniのオリジナル。
正面から20Φ(ファイ=直径)の穴を空け、
裏には2段の長円の掘り込みを、
一段目の掘り込みにウォールナットのふたをすれば、オリジナル引き手の完成。
これが完成!中央の縦2本のフレームを見て下さい。濃い色の縞が左右対称になってますでしょう?そして左右の端のフレームも対称。おまけに上下のフレームも縞が対称。これはちゃんと訳がある、
この板のA=Bと書いてある材の切り口をパカっと開くと、
ほら、木目が左右対称でしょう?これを「ブックマッチ」と言うのですけど、カマチのすべてがこのブックマッチになっているのです。
複合板に貼ったシートはお客さんの意向でバーズアイメープルにしました。格子のひとマスはこんな風にコレクションを飾るという見せ方も面白いですし、
こんなこともできる。
「あれ!?」って思いませんでした?
この格子もマグネットなのです。
S字の格子も作りました。これで、この空間の仕切り方は無限にあるでしょう。
扉を開けると、
連動したスイッチで発光ダイオードの照明が点きます。
背板と扉の裏にもマグネットが付くのでいろんな飾り方が楽しめます!
小物用の引き出しが一段に、
スライドの棚板も。
全体に縮み杢!丁番も高級なものを使いました。
さて、マグネットですが、今回は着色が好きではない、とのことで、すべてを木地の色でゆくことにしました。
これは北海道の山桜。ほんのりピンクでかつ緑を帯びた縞が入っている、山桜の上物。
で、夏のマグネットですが、「ヨット」が正解でした!
ワンバイ材を使って、木目の出し方と断面を決めるのにずいぶん悩みましてねぇ、、、。(これ全部試作ですw)
強烈なおっさん顔! (ん?誰か今、kuniの顔って思わんかった!?、、、みぽぽ)
つい~っと疾走するヨット~。
こんなことも、
そんなことも、、、それにね。
これがお気に入り。エイのような、飛行機のような、なんだかカッコエエ(笑)
そして、秋用に出して来たのは、
バーズアイメープルの丸太。
これが木口なのですけど、鳥目の「目」が中央から放射状に成長している様子がわかるでしょうか?つまり外側になるほど「目」は大きく派手な杢になるけれど、マグネットのように小さなものを作る場合は、中心に近い方が「密度」はある、ということなわけです。ただし、カエデ科の木は中心部の色の濃い部分は「偽芯」と言って、使いません。この部分はなぜかひび割れる確立が高く、刃物を傷めることがあるので、さすがのkuniもこの部分は避けるんです。ですから、今回使うのは「偽芯」ぎりぎりの際の部分ということです。
前回のカエデの翼果は3色の材がありましたけど、使い切ってしまったので、今回はメープル=カエデの材でカエデの翼果と思ったのです。
バックにバーズアイのシートでマグネットが本物のバーズアイ。キラキラしてますよ~。
そして冬のために、kuniの知る限り、日本の木材中もっとも白くて緻密な、ツリバナを。実験も兼ねて、ほんとに直径2センチ程度の枝からでも製作可能かどうかと。
2センチの枝ですから、断面から2本しか取れません。
すべてを枝から取るとすると、膨大な手間がかかるので、太い丸太からも。とはいえ、この丸太は変色部が多く、ここから木取ることもけっして楽じゃないですけどね、、、。
やってみて、うんざり、、、。雪を4セット木取るのにバケツ2杯のゴミが出ました。四季の中で、冬は倍の手間がかかりますね。(パーツの数が多いので、当たり前なのだけど、しみじみ痛感、、、)
自分で言うのも変だけど、これは名作だなぁ、、、。
月桂樹のクセモノをてなずけて、引き出した木味。
加えて、同じ丸太で揃えたという有り得ない仕様。
春はサクラで桜を
秋はカエデで楓を
夏はあえて新作のヨットを
冬は最も白いツリバナを
どこまで理解できるかはわからない、頭で理解することと、心で理解することは違うと思うから。
お客さんは僕と同じ年ですので、時間はまだいっぱいあります。この先使って行く中で、きっと少しずつ解ってくれることでしょう。
さて、難しい時代ですね。
好転しない状況の不安に押しつぶされそうになります。でもね、1ミリでも前に進むのがkuniの信条だからなぁ、、、。
そんなわけで、ちょっと気分を変えようと、それとショップ機能も加える準備としてすべての記事をサムネイルからのリンクにしました。いかがでしょ?
すっかりお休みしちゃった上にボチボチの再開ですが、
よろしくです~!
以下、SEO対策です。見なかったことにして下さい~(笑)
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