栃爺の余生ー木のお守り? [木のお守り]
皆さん、ワシを憶えてるかのぉ?DVD収納のしべのマグネットで登場した、あの若造があまりの美しさに30年使えなかった、栃の縮み杢じゃ。
栃という木のすべてがこんな杢なわけではないのだぞ。ワシに言わせれば、杢なんていうものは一種の成長異常でな、年をとるとだんだんそんな風になってくることが多いもんじゃ、だから若くて健全な子には杢はまだ出てこんでな、まぁ杢ちゅうのは年寄りの勲章みたいなもんかのぉ。
この子なんかはまだ若い子でな、色も白いじゃろ。年を取るとなぁ、まぁ色素沈着というかのう、だんだんと色も濃くなってゆくんだわな。
しかしこの子は色っぽいのう、、、
「じゅる」
「なんですか、その じゅる って!?」
ところでのう、あの若造にこの間、嬉しい出会いがあってな。なんでもメープルの縮み杢が好きで、検索するうちにアウトレットの「カエデの翼果」を見つけて注文してくれた人がいたんじゃと。で、その後、他の記事を楽しむうちに栃の縮みのワシのマグネットに釘付けになって、またメールをくれたんだそうな。
で、もし、まだあの材料が残っているなら、それでお守りのようなものを作ってもらえないかと。若造、その日のうちに電話をしてな、なんだか旧知の仲のように楽しそうに話しておったわ、、、。出会いというのは面白いもんじゃなぁ。マグネットみたいなもんかのう?お互いに引き寄せられるんじゃなぁ。
製作を快諾した若造はさっそく型紙をおこしてな、ティッシュの箱ってところがつつましいのう、、、。
手のひらに納まって握って気持ちのいい形がコンセプトだそうじゃ。
削っては、何度もニギニギして、ようやく納得して、本番だと。
あー!ワシの一番おいしいあたりを切りやがった!
「おい!いいのか!?ほんとにいいのか!?ワシは30年出番を待っていたんだぞ。それだけの出番なんだろうな、ん!?」
「大丈夫、もう一個分は残っているからさ~」
「ばかもん!失敗なんて許さんぞ!!!」
「はいはい、ところでその方、女性だって解ってました?」
「ん!? じょ、女性!? お守り!? いつも一緒!? ニギニギ!?
風呂もか? 」
「いや、風呂はふやけると思いますよ」
「おい、早く作れ!」
ベルトサンダーで荒削りをしたところで、これ以上は指も削りそうだと言って、ここからは手での削りじゃと。しかしこんな凸凹でちゃんと形になるんかのう?
「ほほう、らしい形になってきたのう。しかしお前、もう一時間はやっとるなぁ?」
「栃爺、もう指がつりそうですw~」
「ばかやろう、30年待たせたバツだ、我慢しろ!」
「w~」
「おい!そのサンドペーパー何番までかけとるんだ!?」
「600番」
「バカかお前は!?木地に600?それは磨きだろう?」
「だってね、ニギニギするんですよ?栃爺、喜ばれたくないですか?ニギニギ、スリスリ~ですよ?」
「、、、お~、、、そうだな、早くしろ」
「しかしお前の製作はなんというか、つうの機織りみたいだなぁ、、、。」
「ははは、自分が作ったもので人が幸せになるのが無上の喜びですからね」
「お前、アホじゃな」
「ぎゃー、冷たい!!!」
「ばかやろう!塗料につけるんなら前もって言わんか!!!」
「ん!?、ワシはこんなに美しいのか!?」
「と思ったら、なんでまた塗料をはがして修正してるんだ!?」
「塗ったらね、形のいびつなところが見えてきちゃったんですよ」
「なんだお前、まだまだだなぁ、、、。」
「爺!スリスリ、ニギニギしてもらうんですよ。見ても触っても完璧な曲面じゃないと飽きられてもいいんですか?それとも今回の話はなかったことにして、僕が代わりに行きますか?」
「いや、それはこまる、、、。ワシの余生じゃからな、、、ムフフ 」
「寒!!!今度はなんだ!?」
「なんだ!?そんなでっかいガンで吹きつけるんか!?凍え死ぬぞ!」
「うぎゃー、今度は振動で死ぬぞ!!!?」
「あはは~、脂肪の燃焼ですかね~。幸せな余生のためです、ガマンして下さい。」
「え!?これがワシか!?ほんとにワシか!?」
「鏡よ鏡よ鏡さん、ワシは美しいか?」
「ニギニギ、スリスリ、、、」
「やめんか!お前にされても嬉しくないぞ!」
「反対の面はどうなっとる?スキがあっちゃいかんぞ。」
「お~、いいケツじゃなぁ、、、プリプリじゃ! 」
「自分のケツですよ?」
「満足しましたか?」
「若造、お前やるもんだな」
「若造じゃなくてkuniですよ」
「知っとるわい、札幌の特注家具、オーダー家具、木のオブジェ、木のレリーフ、木のアート、木の一輪挿し、木のトレイ、木のレリーフ、物置でも、建具でも、犬小屋でも、木のものなら大抵の物は作る、トゥレベルク工房の木工家、国本貴文だろう!?」
「どうだ、検索用語大サービスだ!?おまけに太文字だぞ!」
「バッチリっす」
「はい、じゃあ荷造りしますよ」
「速達で送れ!」
「だめ、緊縮財政!」
「みみっちいなぁ」
「やめますか?」
「ばかやろう!」
「普通郵便の旅、楽しんでね~」
「もうすぐだ~、ニギニギ~、スリスリ~」
こうして、エロ爺こと栃爺は関東に旅立っていったのでした、、、。