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近況ーラワン材の家具 [日々の出来事]


 暑い日が続きますね。みなさん体調を崩されたりしてないですか?

 Kuniは元気でやっております。先月後半から友人の建築家の引っ越しに合わせて家具一式を制作しています。


o邸家具スナップ.jpg
 
 流し台、吊り棚、食器棚、本棚、デスク。写真は手前がデスクの引き出しで奥が食器棚です。

 20日には完成予定ですので後日またちゃんとした記事に出来ればと思いますが、また時間がかかりそうなので今日は写真一枚の記事に。あんまり空いちゃうとまた心配されてしまうので、こうして写真一枚の記事も時々載せてゆこうかと思います。

 ではまた、ごきげんよう。



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幻の青黒檀?ー銘木のマグネットの新作 [日々の出来事]


 2月末のこと、帯広の国本美術館(笑)に訪れた帰り道、馴染みの銘木屋さんに寄りました。

 返り際に「これあげる」と差し出された数枚の木っ端に目が点になりました。

 「青黒檀!?」

001、青黒檀を溶剤で拭く.jpg

 翌日のこと、この青黒檀を削ってみると中は「あれ!?緑っぽい!?」

 ええ、溶剤で湿らせたティッシュで拭いてみてもやっぱり緑色味を帯びている。かつて銘木の世界には黒檀というのは3種類ありましてね。真黒と呼ばれる本黒檀と縞黒檀と青黒檀なんですが、現在普通に流通するのは縞黒檀だけで本黒檀(マグロ)と青黒檀はこの道に入って以来見た事がない幻の銘木だったのです。

 「どうしてこんなもんがあるの?」と聞くと、「うん、同業者の古い在庫を分けてもらったんだ」とか。はい、そんなことでもないと青黒檀なんて手に入らないでしょう。

002、青黒檀、縞黒檀、ブラウンエボニー.jpg

 写真にするのがすごく難しかったのですけど、左下が青黒檀で上が縞黒檀、そして右はブラウンエボニーです。青黒檀はやっぱり青に色味が傾いてませんか?濃いオリーブグリーンの細かい縞模様が削ると出て来るのです。だから今見えている緑の縞模様はやがて真っ黒に戻ってゆくんでしょうね、不思議です。

 ブラウンエボニーも旭川の材料屋さんが南米から試験的に入れてみたというだけにネットで情報を探してみましたけれど、日本語ではヒットしませんでした。この写真は黒檀3種、青、縞、茶黒檀ということになります。(写真自体が日本初かも!?)こんな材料を使ってマグネットを作ろうと思う事自体イカレてますね。

003、ボコテ.(リオグランデパリサンダー)jpg.jpg

 左はボコテという材でムラサキ科、産地はメキシコあたりとか。

あまりの美しさに25年以上切るのをためらった材です。


004、黒柿、タガヤサン.jpg

 左が超希少材の黒柿で右はタガヤサン。このタガヤサンは古い座卓の再利用なんですけど、ムラサキタガヤかもしれません。

006、ピンクアイボリー、チューリップウッド.jpg

 左はピンクアイボリー(クロウメモドキ科)その名の通りまるでピンクの象牙のイメージで削る感触は木ではないようなカリカリとした印象でした。

 右はチューリップウッド(マメ科)肌色をベースに鮮やかな赤と青紫の縞が入ったこの世の物と思えない美しさでした。これらは数個しか作れなかったので非売で工房コレクション入りです。






005、ワイルドオリーブ.jpg

 これまた激レアのワイルドオリーブ。葉書サイズで5000円とか、めっちゃ高いですね。削ってびっくり、オリーブの香りはするし削った肌がもうツルンツルンで感動しました!

 ここまで載せた写真はすべて無塗装の艶なんですよ。比重のある材はペーパーの番手を細かく#1500なんてかけてゆくと、もう塗装が必要ないくらいに艶が出て来ます。その肌触りはほとんどの方が知らないだろうと、あえて無塗装にしてみたのです。



 ここからは塗装した方が木味の出るタイプ。

007、御蔵島の桑(金桑).jpg

 前記事に書いた御蔵島産の桑、島桑ないし金桑と呼ばれる貴重品でしかもその股杢です。右のものは金箔でも貼ったような輝きで、まさに金桑!これもコレクション入り。





008、アテ材.jpg

 選びに選んだ、おそらくロシア産のモミ材のアテ部分ですね。


009、カリンのリボン杢.とブビンガjpg.jpg

 左はカリンのミニリボン杢?と言ったところでしょうか。4ミリピッチほどで順目と逆目が交互にあるので光の縞になっていて、それを「リボンを並べたようだから」リボン杢という言い方があるんですね。

 右は第一級の巨木タイプ、ブビンガ。



010、ブラッドウッド、パープルハート、ビャクシン.jpg

 右奥がブラッドウッド、左がパープルハート、手前が中国産のビャクシン。
 


011、杢のいろいろ.jpg

 奥左がイタヤカエデの縮杢、奥中が月桂樹の縮杢、奥右がイタヤカエデの瘤。

 手前左はヤマモミジの鳥目杢、手前右は白樺の股杢です。


 さて最後に驚いていただきましょうか?

012、肥松.jpg

 これは黒松の脂が多い部分の材です。色が濃いところがヤニの集中しているところ。手前に3ミリの切片がありますでしょう?これを、


013、肥松の透過.jpg

 奥から光を当てるとヤニの集中したところが透けて見えるのです。こういうヤニだらけの松は黒松、赤松にごく稀に存在するのですけど、これを「ヤニ松」とか「肥松」と言い、これはこれで銘木の扱いなのです。



015、脂松−1.jpg

 これはパイン材(欧州赤松)のヤニ松でして、窓際に置いて透かして見ると、、、


016、脂松−1.jpg


 どうです?「手のひらを太陽に〜」みたいな、まさに命の色!

 ただし、ヤニ松はじわじわとヤニが出てくるのでまめに拭いてやらないといけません。その昔、このヤニ松で出来た床柱なんてどうしてたんでしょうねぇ?その家の奥さんか女中さんが毎日拭き込んでしまいにはヤニの被膜が塗装のようにツヤツヤになったんでしょうかねぇ、、、。



 こうした希少材でマグネットを作るって馬鹿げているのかもしれないけど。

 銘木って普段の生活で触れる機会がまったくないですよね。それはよほどの豪邸とか超高級料亭にでも行かないと接する機会なんてありません。でもこうして、ごく小さな物にすれば手に入れる事さえ出来る。僕にとってはそこが大事なんですね。

 このマグネットを作っている最中に何人かの営業さんがこれを見て、皆感嘆の声を上げてゆきました。

 「えー!!!?これ木ですか!!!?えー塗ってないのにこんなにつるつるなの!?」とか

 「この色染めたんじゃないんですか、え〜!!!?」とか。

  身近にこういう物があると癒され元気をもらえる人が必ずいます。僕はそういう人のために作るんですわね。 





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銘木フォトフレームの新作 [日々の出来事]



38−1、ハリエンジュ瘤の2Lフォトフレーム.jpg

 久しぶりに自分の作品を作り始めたら、だんだん勢いづいて来ちゃったkuniです(笑)写真は正式和名がハリエンジュ、俗称はニセアカシア。札幌では街路樹としてよく見る樹の瘤です。

001、ニセアカシアのコブ.jpg

 2004年の台風の被害がひどかった年に倒れた街路樹なんですが、この瘤にはちょっと思い出がありましてね。

 台風が過ぎて行って1週間ほど経ったころ、杢好きの友人から電話がかかって来て「今、倒れた木を市民配布している場所にいるんだけど、瘤のでっかいのが付いた木があるんだけど手伝ってくれない?」と。

 一時間ほどかけてその場所に行ってみると、とても二人でも車に載せられる大きさではなくて、さらに二人の合計4人でようやく載せて持って帰ってきた材なのです。

 下ろすのも瘤を切り離すのも大変でしたけど、まぁカゴ4個分は採れて二人で分けたのでした。

002、ニセアカシアのコブ.jpg

 でもせっかく苦労した割には入り皮が多い瘤で、欠点のない板は切り出せなく、カゴふたつから一輪挿しが数個採れただけで後はマグネットに少しずつ使うしか用途はなかったのです。

 今回、フォトフレームを作ってみようかと
003、ニセアカシアのコブ.jpg

 入り皮を避けながら4〜5枚分のパーツが木取れたかと思いましたけど、

004、フォトフレームの部品.jpg

 面を削ったら中から入り皮が出て来ちゃったりとか苦労しつつ、どうにか3枚のフレームが完成しました。その奇跡のひとつが冒頭の写真というわけ。


21−1、カリン縮杢のフォトフレーム.jpg


 そもそもこのフォトフレームには縮杢、鳥目杢とか削るのがやっかいな材料を使いますでしょう?その「やっかい」の意味なんですが、まず板や塊からパーツの断面よりひとまわり大きく切り出す。これが「木取り」そしてこれを正確な断面に削り出し、ガラスのしゃくりと曲面を削り出すという手順なわけですけど、杢のある木というのは木取りの後の「正確な断面に削り出す」ということ自体がとても大変なのです。


005、縮杢の掘れ.jpg

 イタヤカエデの縮杢の上が木取り直後で斜めの痕跡は鋸の跡です。これを通常の機械で削ると下のように逆目のところが1ミリ近くも掘れてしまい、これを平にしようと鉋を何度もかけるとそもそもの断面が不正確になってゆくので杢のある材というのは普通の削り方では対処できないんですね。

 なので鋸で木取りをした後、もう一度鋸でなめるように削って断面を正確に決めるという手順になるのですけど、これが難しいのですわ。

 
18−1、イタヤ縮杢のフォトフレーム.jpg

 こういう見事な縮みほど削るのはやっかいなんですねぇ、、、。見栄えのする材ほど作るのは大変なのでした。



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箸置き、ペンスタンド、一輪挿しの新作 [日々の出来事]


001、教授とパッケージ.jpg

 「学長!これなんですか?」

 「うしし〜玉手箱〜」

 「え〜開けたら髪の毛がなくなっちゃうなんてなしですよ〜」

 「まぁ、そりゃ大丈夫だと思うよ」

 「なんかやな感じ、、、、」


002、木の箸置き.jpg

 「おー!!!なにこれ?かわいい!」

 「ハイチュウ?って言った人がいたなぁ」

 「あん!?」

003、木の箸置き.jpg

 「正解は箸置き♪」


004、木の箸置き.jpg

 「いや〜おっしゃれ〜!パッケージングがいいですねぇ」

 「でしょでしょ!」

 「だけどねぇ、これすんごい苦労したのよ、聞いて聞いて」

 「長そうだけど聞きますか?」




 マグネットの記事の時にopasさんが「箸置きにしましょうよ」なんてコメントがありましてね。そう言えば20年程前に作ってあまりの大変さにやめてしまった箸置きがあったのを思い出しまして、またやってみようかなと思ったのです。ただこの箸置きの制作はまず刃物の消耗が激しいのも大きな課題で、機械屋さんに話をしてみると、なんと運良く中古の刃があったんです。

005、接ぎカッター.jpg

 板の接ぎ口を作るための刃なんですが、箸置きにするにはちょうどいい歯形なので譲ってもらいました。

006、短冊の板.jpg

 で、もうひとつ大変なのはこのデザインは木材の木口をこの歯形で削りたいこと。そのためには巾方向に短冊状に切った材料を加工してゆくことになりまして、銘木の端材は棒状のものが多いので巾の広い材料がほとんどありません。となると

010.jpg

 こんな風に小さなブロックを張り合わせて巾のある材料にしてから短冊状にして加工して行く事にならざるを得ないわけです。今回6種の組み合わせで計12樹種で作ったのですが、そのほとんどの樹種でこの行程が必要になってしまったために膨大な手間がかかってしまったわけです。ほんと途中でうんざりしました。

007.jpg

 削り出した色違いの材を

008.jpg

 こうして接着すれば箸置きの元ネタができる。金太郎飴の棒のようなものですね。

011.jpg

 6種の組み合わせ。




012.jpg

 これを約15ミリ角に切り出して、



014.jpg


 まず長手を5度に切る。


015.jpg

 次に木口も5度に切る


016.jpg

 最後に上の面をカーブに削り出したら

017.jpg

 あとはひたすらサンディング、、、。


018.jpg

 #120、#240、#400と3段階にペーパーをかけるのですが、今回150個ほど作りましたからサンディングだけで3日かかって、げっそり。マグネットはすべての行程を機械化できるので単価が下げられましたけど、この箸置きは仕上げの行程の大半は手作業になってしまうのでマグネットの倍の手間がかかりました。

 だからと言って単価は倍にはできないというのが20年前に苦しんだところなんですね。すっかり忘れてました、アホですね(笑)


019、ブラッドウッドと桑の箸置き.jpg

 ブラッドウッドと桑の組み合わせ。ブラッドウッドは南米産でクワ科なので色は違えどクワの組み合わせということになります。


020、ニガキと月桂樹の箸置き.jpg

 ニガキと月桂樹。ニガキはキランキラン!


021、カリンとハリエンジュ瘤のの箸置き.jpg

 カリンとハリエンジュのこぶ。


022、ウォールナットとカバこぶのの箸置き.jpg

 カバこぶとウォールナット。


023、イチイとクラロウォールナットの箸置き.jpg

 これはたった一組しか作れなかったクラロウォールナットとイチイの組み合わせ。


024、パープルハートとイタヤカエデの箸置き.jpg

 パープルハートとイタヤカエデ縮み杢。



 こりゃ楽しいですね!おまけにすごくプレゼント向きじゃないですか?どうしてこういう可愛くてかっこのいいものを今までださなかったんですか!?」

 「だから言ったでしょう?すんごい手間がかかってうんざりするんだってば!」

 「そりゃそうかもしれませんけどね、学長の作るものはね、ニュアンスとしてカワイイが足りなかったんですよ。でも今回は特にパッケージでそれが実現出来てますでしょう?そこがいい、実にいい!名作誕生ですなぁ」

 「なんだよ偉そうに」

 「わたしなんたって教授ですからな」

 「ふ〜んだ」

 「ところでだね、今日は一気に3種の作品の紹介で、次はペンスタンドなんだけどね。20個程作ったのだけどちょっとトラブルがあって12個がハネになって完成したのは8個6樹種なんだけどさ。どれも愛着があるのだけど、特に紹介したいのはシルバーオークの柾目のものなんだよ。




011、ナラ柾のペンスタンド−1.jpg
012、ナラ柾のペンスタンド−1.jpg

 ヨーロッパのナラ材なんだけど、今までナラの髄線っていうのは大きな面で見せるには面白みが解るのだけど、小さなもので髄線を面白く表現出来なかったんだね。これが今回快心の出来映えになってやっとナラ材の小物での生かし方が解ったんだなぁ、、、。これが嬉しくてね。」


 「おー!!!これはいいですね!!!ほんのわずかに柾目を傾けて髄線が放物線を描く様にしたわけですね!?いやこりゃすばらしい工夫です。座布団3枚ですなぁ!」

 「でしょでしょ!? で、最後は超久しぶりの、そしてたぶんこのブログでは初登場の一輪挿し「Triad」

 

001、木の一輪挿しTriad、グリーン.jpg

 「ありゃ!?グリーンの木目!?こんな木があったわけじゃないですよね!?」

 「ウシシー、そう見えたらやったぜ〜てな感じ。これね白とグリーンを年輪の一本おきに着色したんだよ。」

 「えー!!!?そんなアホなことを!!!?」

 「アホ言わなくてもいいでしょう?」

 「いや、だって一本一本グリーン、白、グリーンって!?それはやっぱりアホでしょう!?」

 「芯持ち教授、木工芸って言うでしょう?僕らはさ芸人でもあるわけよ。人が面白いと思う事を無限に追求してゆかないと飽きられるでしょう?」

 「はぁ、そういう意味ではアホは褒め言葉ですかね?」

 「いや、う〜んまぁそうとも言えるけど、、、なんかだまされたような、、、まぁ、こんなのもあるよ」


010、木の一輪挿しTriad、ピンク.jpg

 「ピンクと白〜」

008、木の一輪挿しTriad、イエロー.jpg

 「黄色と白〜」

012、木の一輪挿しTriad、グレー.jpg

 「グレーと白〜」

 「ウヒョー!!!これは新境地ですね!!!これは無限の可能性があるじゃないですか!?」

 「そうそう、レリーフに使っても表現の巾がまた広がるしね。」

 「しかしなぜこれもっと早くにやらなかったんですか?」
 
 「いや、アータね、これ難しいのよ。年輪を一本一本吸い込みムラもなく、まるでこんな色の木があるかのごとくに着色するってね。これもう10年以上暖めていたアイディアだけど技術的に上手く行かなかったのさ。」

 「え!?じゃぁどうして今回できたんですか?」

 「えへへ、それだけはヒ、ミ、ツ。」

 「私にもですか!?まぁいいけど、、、しかし学長、なんか今回はカワイイがキーワードになってますねぇ。これはいい傾向ですなぁ。今まで学長に欠けていた部分が開拓出来始めている気がしてきました。我が校の未来もちょっと明るくなってきそうですなぁ、、、」

 「うん、そういうことにしよう〜」









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木目彩色 [日々の出来事]


 雨の多い日が続きますね。今日の札幌はいい天気で気温は25度近くまで上がったようです。

 屋根の温度がもろに伝わる2階で事務仕事をしていましたが、半袖でも汗ばむほどでしたので30度近かったのだろうと思います。


001、木目着色の棚板.jpg

 昨日、納品した仕事です。クラフトに理解のある工務店さんで作家の展示コーナーに使う棚板です。

 「ここに国本さんの作品を飾るんですよ〜」なんて言ってもらえましてね。気合いが入って一輪挿しで初めて実用化した着色方法をさっそく使う事にしたのです。

 結果は見ての通り、本人もビックリの出来上がり!


002、木目の着色.jpg


 最初は3色の提案をしたのですが、ナチュラルとの対比も見たいということで木地のままのものも入れて4色ということになりました。

 これがね、、、とってもいい経験になったのです。

 写真ではなかなか伝わらないかも知れませんが、上の3色と一番下の木地のものとでは圧倒的な差がありまして「もっと早くこの着色が出来ていれば、、、」と思う程でした。

 人が物の状態に驚く時の要素に「素材が化けている」ということがあると思うのです。まるで木だとは思えない、でもよく見ると木じゃないとこんな表情は出せない、そんな状態ですね。それがここに来てようやく出来た気がするのです。そして今まではまだ化けきらせていない状態で勝負していたんだということも理解できました。


003、木目の彩色.jpg

 今までやって来たことは、まだ人の常識の範疇にあって、今回の着色の結果はそこからはみ出している。だから驚くのでしょうね。この気づきは僕にとってものすごく大きな出来事でした。

 これからはこの手法を大きく発展させてやろうと思っています。


004、3次元の木目.jpg


 きれいでしょう?



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ダイニングチェアー「つつみ」の制作   [日々の出来事]


001、ダイニングチェアー「包」.jpg

 久しぶりに「つつみ」の制作をしました。追加予算を出していただき、1脚11万で4樹種での制作です。奥左がナラ、奥右はウォールナット、手前右がエゾヤマザクラ、手前左が桑です。ウォールナットを除く3樹種は近年お付き合いし始めた札幌のLOVE WOOD(能美)さんで入手しました。

002、桑材2枚.jpg

 これ北海道産の桑材なのですが、実はエンジュの山のなかに紛れていたものだったのです。エンジュを在庫していることでさえ珍しいのですけど、「これねぇ、桑だと思うんですよね、、、」の一言に「うそ!!!」と猛烈に反応してしまいまして「えー!?いやー事後承諾で桑に変更します」「えー!大丈夫ですか!?」なんて会話になりました(笑)

 桑ってね、材料屋さんで見つけたのは初めてなんです。いつか桑で「つつみ」を作ってみたいくらいに思っていたほど市場では出くわしませんから、嬉しかったんですねぇ〜。

 で、ルンルン気分で持ち帰ってさっそく削ってみると、

003、桑、焼け色.jpg

 奥が焼け色で手前が2ミリほど削った色です。すごいでしょう?金桑なんて言い方もあるんですけど、これは北海道の金桑だ!って思う様ないい色でした。


004、アーム、桑.jpg

 写真ではなかなか伝わりにくいかもしれませんが、感動の仕上がりです。

005、フィンガージョイント.jpg

 キラキラしてるし、

006、桑の髄線.jpg

 年輪と直交している模様が髄線。




007、ヤマザクラ.jpg

 これはエゾヤマザクラ、緑がかった縞模様がうんと派手な個体を選んだのですけど、これがまたうっひょー!!な結果。

008、サクラ材のダイニングチェアー.jpg

 すんごいでしょう?これもまた「いつかこんな材で作ってみたいなぁ」なんて夢が実現したんですわ。

009、フィンガージョイントのアーム.jpg

 後ろから見たアームの年輪がド派手でしょう?



010、ナラ材のダイニングチェアー.jpg

 これは北海道産のナラ。硬くてしっかりした木味のいいナラです。ナラは髄線がはっきりしているので曲面にした時にこそナラの本領って発揮されるものだと今回しみじみ再認識しました。

011、ナラの虎斑.jpg

 この貫は虎斑(とらふ)ですね。

012、ナラの髄線.jpg

 ほらここの髄線の見え方はまた格別です。




013、ウォールナットのダイニングチェアー.jpg

 最後は極上のウォールナット。こんなに色が濃くて木味の締まった材はなかなかありません。

014、ウォールナット.jpg

 ここはあえて濃淡のある材を見せて、

015、ウォールナット.jpg

 フィンガージョイントの奥と手前でものすごく色が違って見えるのは木の繊維の向きによって光りを反射する角度が違うからです。


 
 今回のお客さんは自宅のリフォームに合わせて本当に気に入ったダイニングチェアーを選ぼうと探して探してようやく僕のブログに辿り着いたのだそうです。

 「ウェグナーのY チェアーも見て座ってもみたんですけど、やっぱり「つつみ」の方がいいと思ったんですよね。これを見つけた自分を褒めてやりたい」とまで言ってもらえたのでした。

 28年にわたって進化させ続けたデザインで、途中でもうやめようかと思った時期もあったのですけど、あきらめずに改良を加えて今に至るわけで、そのデザインにそこまで言ってもらえたら、泣けちゃいますわね。


 あれこれ集中できない事情をかかえながら、どうにか納得の完成度にこぎ着けてほっとした今日でした。

 ご無沙汰ばかりしていますが、元気でやってます。




 

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出会いのマグネット [日々の出来事]


001、サンタ.JPG


 「こんにちわ〜サンタです。暑い日が続きますので私を見て涼んで下さいな。」




002、赤サンタ、青サンタ.JPG


 「いやいや、そりゃだめでしょう?サンタは寒い時期にほっこりするのに赤なんであって暑い時に見たら暑苦しいんじゃないですか〜?」


 「なんじゃ君は!?ひげはサンタらしいけど帽子が青ってサンタ協会の規定から外れておるぞ!」


 「え〜、いきなりそこツッコミます〜?それはね〜それはね〜、、、ナイショですよ。実はですね、、、」


003、ゆきんこ.JPG


  「kuni さんがマグネットを頼まれたんですけど、ゆきんこ6人にサンタ1だったのね。で、ゆきんこの帽子の青を着色している時に勢い余ってサンタの帽子まで青にしちゃったんですよ。そのあとあわてて予備で作ってあったゆきんこにヒゲを付けて帽子を赤にしたという訳ですよ。だからあなたは僕の後に生まれてるんですよ〜。」


 「何!わしの方が年下ということか!?nな、なんてこった、、、。」


 「あっはっは。というわけでここからは僕が仕切りまんでよろしく〜。」





004、カエデの翼果実.JPG


 「5月の初めのことなんですけどね、ある方からゆきんことカエデとレリーフいろいろのマグネットという注文をいただいたんだそうです。ものつくりの仕事をしている方で kuniさんの作品をものすごく理解出来る方だったようで、その方からこんなメールをいただいたそうですよ。」



 「大きな支えをなくしとてもお辛いですね。誰しもいつかは訪れる定め。それでも残された人は生きていかないといけない。生きることは自分を活かすことだと思います。kuniさんは素材を生かし、木に新たな命を吹き込んでいるのだから素晴らしい!

 


 センスのよい作品からもお人柄が伝わってきますが、作家でありながら独りよがりに押しつけてこないで、依頼者の希望に寄り添おうとするスタンスも、値段と手間が合わないくらいとてもよく考えられ、素材と対話しながら特性を活かしているところも、加工方法や作業行程を素人にもわかりやすい目線で惜しげもなく紹介されたり、作ること伝えること喜んでもらうことに使命感さえも感じられたりと、本当に素晴らしいです。エンターテイナー!


 大好きなものに囲まれて一緒に歳をとりながら暮らしたい。その一つにどうしても加えたい! kuniさんの作品を見てそう思ったのでドキドキしながらメールしました。」


 


 「 kuniさんね、このメールを見てジーンとして何度も読み返していたそうですよ」


 


005、木のレリーフ、アラカルト.JPG


 「これはレリーフのアラカルト。あのメールを見て、今回は採算は忘れて自分が前に進むためにも納得ゆくまで作ろうと思ったんだそうです。だから見て下さいよ、一つ一つに気合いが入っちゃって。」


 


 


006、木のアート.JPG


 「わずか40ミリ角の中にこの木目ですよ!この材料めちゃくちゃ選んでますよね!」


007、不規則な年輪.JPG


 「年輪幅 0.5ミリほどでなおかつ不規則に濃い色が入っている。こんな材料は 100枚に1枚しか見つからないでしょう。 kuniさん、ホームセンターで何時間も粘ってましたもの」


 


008、木のレリーフ.JPG


 「ひょー!ですよね!?この上と下の年輪の対比」


009、アテ.JPG


 「右上の方に濃くて太い年輪が集中していて下はおとなしい木目だからあんな対比になるんですね〜」


 


010、木目のマジック.JPG


 「わちゃー!!!これ6個のパーツを年輪がぴったり一致するところで切って貼り合わせてあるんですって。中央の白い菱形がまた変化を付けていて、これって狙ったんでしょうねぇ、、、。」


011、年輪.JPG


 「貼り合わせた中央の上をみると白い縞が V字に入っていますよね?これかぁ、これが白い菱形に見えてくるんですねぇ、、、、なるほど〜」


 


012、木目のアート.JPG


 「おーこりゃまた、うねった面に合わせて木目もうねってますよ!」


 


013、六角の掘り込み.JPG


 「これ、5回やり直したって言ってましたよ」


 


014、木目の豊かさ.JPG


 「なんかひょうきんな木目ですね、見てると微笑んじゃうなぁ」


 


 「そして、今回の目玉、奇跡の木目!」


015、奇跡の木目.JPG


 「どういう向きに組み合わせてもちゃんと花びらのような木目がきれいに出るんですよ!これは奇跡です!」


 


016、奇跡の木目.JPG


 「僕これ作る時ちゃんと見てたんですけど、25個作って納得出来た4個の組み合わせはひとつだけだったんですよ!例えばこれなんかは」


 


017、奇跡の木目.JPG


 「単体で見るととってもきれいだし面白いけど」


018、奇跡の木目.JPG


 「それぞれの個性が強すぎて4個の木目が一致しないですよね?」


 


019、奇跡の木目.JPG


 「これが納得のものなんですけど、勝手が解るようにチョークで印を付けて、今は中央に印が付いて木目も一致しているでしょう?」


 


020、奇跡の木目.JPG


「こうして2個だけをひっくり返しても木目が揃っている!これはすごいことですよ!!!もう奇跡を起こしたとしか思えない!!!」


「先日ね、 kuniさんの同級生が10年ぶりくらいに訪ねて来てくれたんですよ。制作途中のこのレリーフを見て、”わぁ〜作り続けているんだねぇ〜”って心底関心していたんですよ。その時 kuniさんが”これを作り続けることがおれが生きてるって証だからなぁ”って何気なく言ったんですけど、泣けちゃったんですよね、、、」


 「 kuniさんは大学を卒業するころに自分がお母さんを看取るべき立場なんだと悟って以来ずっとそれを心にしまって生きて来たんですね。そしてお母さんが亡くなってしまうとまるで自分が存在する意味さえなくしてしまったようで生きる気力をなくしてしまったんだそうです。頭ではこの先自分がなすべき事は解っていても体が動いてくれなくてどうにもならなかったんですね、、、。そんな時にこんな出会いがあって、随分力づけられたんですって。この3ヶ月 kuniさんを見てると、少しずつぼんやりする時間がなくなって仕事に集中できるようになって来てるんですよ。


 まだまだこの先が見たいですよね〜」


 


 「おい、ところで君も一緒に行くのか?」


 「もちろんですよ!僕、自分の名前考えました!語部三太、いいでしょう!?」


 「 Mさん! kuniさんに代わって御礼申し上げます。出会って下さって本当にありがとうございました!そして僕は皆と一緒にもうすぐ行きますからね〜。お楽しみに〜!」


 


 


 


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