四季のアートマグネット「一期一会」 [2013、四季のマグネット]
アートなマグネットの新作です。
今回は背景のシートとフレームに手間もお金もかけました。
水滴が付いているでしょう?花びらに付いているマグネットの磁力に表面からでも別なマグネットが付くことに気がついて、水滴も5個作りました。そうすると、
愛嬌のあるエンゼルフィッシュにもなります。木目の向きを傾けてあるので、水滴をくるくる回せばいろんな表情になります。この水滴、直径7.5ミリ(^_^;)
この半年でさすがに老眼が進んで来て、100金で眼鏡を買ってきました。まともな眼鏡が課題です。
旋盤で削って、ペーパーをかけて、
回転させたまま、色を付けて拭き取る。
エンゼルフィッシュがクルクルクル~♪
サクラの製作工程はこちら、http://seisakunohibi.blog.so-net.ne.jp/2011-07-01
夏は新作をデザインしました。以前の夏の葉は形が具象的すぎて組み合わせのバリエーションが少ない面があったので、少し抽象的な形に戻してみました。その結果、かなりの自由度が出て来たのですよ。
ね?この方向性は新たなチャレンジでもあるんです。今ある方に以来されているレリーフもこういう単純な幾何形の方向性でできないかな?と思っているのです。
さて、この葉っぱに使った材料は超曲者でした。
見事な曲がりっぷりでしょう?斜面に生えていた「アテ材」ですね。健全な職人なら材料の山にこんなのが混じっていたら、怒りますよね(^_^;)。
でもその結果、葉脈の感じが面白く表現できました。
前回の夏の葉の製作工程はこちら(ただし四季全部の記事ですので長編です。)
http://seisakunohibi.blog.so-net.ne.jp/archive/c2301603233-1
「秋はカエデの翼果の輪舞」(音符のワルツ)。今回の材はカバの瘤。
グロイでしょう?友人のMr.Mがオークションで落とした置物です。この塊から11個取るのが精一杯でした。
カバの瘤に決めるまでには、あれこれと材料を出して来てはうんうん唸ったのですけどね。例えば、
某大学のキャンパスにあった太古の札幌を見て来たニレとか、
リフォームの解体で出て来た栂の古材とかね。(この角材、よく見ると途中から年輪の巾がすごく大きくなっているでしょう?しかもアテ。ということは斜面に生えていて途中までは他の大きな木の日陰だったのがある時その木が倒れるかしてそこから爆発的に成長した、なんて想像できますね)
ここにトカゲ君がいます。
瘤の部分は場所と取り方によってものすごく表情が違います。それもまた一興。
カエデの翼果の製作工程はこちら、http://seisakunohibi.blog.so-net.ne.jp/2011-07-12
毎度、作るのにかなりの覚悟がいる雪。寒い中にも一瞬夕日が差したような雰囲気に。
最小の菱形は一個に付き必ず一回はポロリと落としました。
「あれ!?」みたいな(^_^;)。
見事でしょ?
雪の製作工程はこちら、http://seisakunohibi.blog.so-net.ne.jp/2011-07-14
さて、今回のフレームは不思議な表情になっています。
ほら、木?石?っていう質感ですよね。これね、構造用合板のOSBという材料なんです。
こんな板見たことないですか?木のチップを固めたもの。
ほら、チップが重なり合っているのがわかるでしょう?
この断面をよく見ると、表層は大きなチップですけど、中心に行くに従って細かいチップに振り分けられている。だから、元の素材が12ミリあるんですけど、これを機械に通して9ミリとかに削ってしまうと細かめの表情が出て来るのです。この9ミリの板を3枚接着して、
こうなりました。表情がだいぶ変わりましたよね?
抜き型でフレームに抜いてしまいます。
面を取った状態は、
ぼそぼそ、かつ溝やら穴だらけ。
ひどいところはひたすらパテを埋めて、小さなものはかえって素材の持ち味になるので、あえて残します。
ペーパーで仕上げたものに、
染料を混ぜた半透明のクリアを3~5回ほど重ね塗りします。
一回目、
2回目、
3回目、
4回とだんだん深みが増してきたでしょう?元が木のチップだなんて、
裏返してやっと解ることでしょう。
10日間、夢中になっての製作でした。
実はこのマグネットを注文して下さったSさんとは一期一会を思わせてくれるような出会いでした。最初はペンスタンドを一個注文いただいで、まもなく自宅にレリーフが可能かどうかとお問い合わせをいただき、その後札幌に出張だからと遊びに来て下さったのです。
仕事のお話を聞くと以前から興味のあった業界で、多くの店舗を持つ会社の社長さんだったのでした。気さくなお人柄で話が弾むうちに店舗のデザインにkuniのアイディアを取り入れようというお話になり、年明けに改めて営業と店舗デザイン担当の方の三人でわざわざ札幌に来て下さったのです。
その時、僕はこんな話をしたのです。
「これからの日本は過去のような高度経済成長なんてことはないと思うのです。ということは、幸せをお金で買うという図式が成り立たなくなる。加えて少子高齢化の負担が重くのしかかってくるでしょう。これからは別な価値観を持たなくてはあまりにも多くの人が不幸になってしまう。
僕は木と長く付き合う中で、木という素材の美しさ、深さを再認識しました。それは実に幸せなことでした。そしてそれは結局、自分が地球に生かされているのだということを気がつかせてくれた。美しいものを見て幸せに感じるのはそういうことなのだろうと思うのです。
東京で仕事がしたいという野心は確かにあるけれど、それより大事なのは、次の世代のために、身近な物事から幸せを感じるという指針を今現役の僕らが見せて行かなくてはなくてはならないのだと思うんです。そんな発想で作られたモノが店舗にあったら、そこはきっと、また来たいお店になれるんじゃないでしょうか」と
すると皆さん、深く頷いててくれたんです!びっくりしました。利益を上げなくちゃいけない組織に属している方がこんな話に深く頷くなんとことがあると思わなかったから。
そうして、次の新店舗のための会議に出てほしいということで東京にゆくことになりました。この四季のマグネットはそれに合わせて完成させたのです。どんな展開になるのかわかりませんが、僕の話に耳を傾けてくれただけでも感動しています。まして会議に参加なんて、、、。
墜落寸前から底を打って、少しづつ何かが動き始めているようです。
感動だねぇ、、、、。
ほんとだよ。
マグネットのアウトレットを販売の記事にアップしました。