木目の不思議 [木目の不思議]
これは平成10年の作品です。3次元における木目の不思議を発見してから、どうにか用途のあるものに取り入れようと、もがいて初めて作った作品です。当時の僕でさえ、デザインとしては、60点しかやれないと思っていたものですが、ここに秘められた可能性の大きさに「何か重大なものを作ったぞ」という感覚がしていたのでした。
プロとしてすでに14年のキャリアを積んだ時点で、木という素材がそれまで思っていたよりももっと深いものだということに気付かされたのです。木目という存在に対しての見方の甘さを突きつけられたのですね。そしてそこを深く掘り下げてゆく事がテーマとなりました。
旧ブログをご存知の方は覚えがあるかもしれませんが、新しい読者さんのためにこんなCGをお見せしましょう。
ここに一本の丸太があります。中心軸に対して、平行に切る、
それが、一般の製材です。
では、斜めに切ったら、どんな木目が出てくるか?解りますか?
答えはこう。では今度はジグザグに切る、
ここにどんな木目が現れるか?これはもう難しすぎますね。答えは、、、
では、ナミナミに切ったら?
絶対無理!でしょう?答えはこうです。
どひゃー!でしょう?
平行に切る。これは言わば、平面の木目です。皆さんが日常見ているのは、この木目。ところが、斜め、ジグザグ、ナミナミというのは、
3次元の木目なわけです。僕はここをひたすら追及してるのです。
僕はね、ここに気が付いてから、いろんなことを考えさせられました。解っていたと思った材料の中にまだまだ知らない世界が潜んでいたということ、それは人が慣れてしまったものに対して鈍感になってしまうということを教えてくれました。すべての物事もね。
そう思ったら世界が変わって見え始めたのです。当たり前のものなんて何一つない。すべての物事に訳も由来もつながりも、、、深い背景があるんだと。
木という素材にこんなに深い世界があることに気付かされたのはモノつくりの幸せな側面です。樹ひとつ取り上げて見ただけでこんなに豊かなものに囲まれているのです。あらゆる、物、生き物、人、その深い背景を少しずつでも知ることは、幸せなことでしょう?貧乏してると、自分には何にもないって思いがちだけど、実は何も持たなくても人はすでに豊かな世界に生きている。実はそれに「生かされている」と言ってもいい。そんな気持ちになれたんですねぇ。
それが僕の製作の原点なんです。素材の豊かな表情はきっと地球の豊かさへの実感につながるのではないのかな?って。僕が命かけて、木の潜在能力を引き出そうとするのは、地球の豊かさを見せたいから、なのです。
言葉のまんまでしょう?これを見たら、「うわー、木ってすごいんだ?」って、思いますよね。すごいって思う気持ちが「大事にしよう」につながりますよね?僕はそれがしたい。
そんな姿勢にみなさん共感してくれるのでしょう。素材を生かすことは人を生かすことにつながる、そのためには視点を変えて見ることも必要、幸せを感じるのは自分自身であり、外に幸せがあるのではない、とか。
こうしてみなさんと共感しあえるのは幸せなことです。
ソネブロを始めて、2年になろうとしています。これもまた幸せなことでした!というのは、ここで発信し皆さんからのコメントをいただくことで、自分でも気が付かないうちに実は市場調査と言えることが出来ていたんですね。それによって少しずつ自分の方向性を考える事が出来ました。これはほんとに画期的なことでした。それが結実したのが今回のマグネットだったと思います。みなさんがいたからこそここまで来れたのです。ほんの一行のコメントでも有り難いものと思っています。なので、ソネブロではない方もお気軽にコメントしてくださいね。面倒な認証とかはずしてありますから、コメントは簡単にできますので、ぜひどうぞ。
そして、いままでお付き合いいただいている方、ほんとにありがとう!
これからもよろしくね!