木の壁掛け時計「こまど」(電波時計) [shop]
どうせ時計を作るならムーブメントは電波時計にしたいと思っていたのですが、最近になって誠時というメーカーが扱い始めたことを知り、ようやくそれで時計がつくることが出来るようになりました。
文字盤のサイズは270ミリ角。
今までずいぶんいろんなことを試行錯誤してきましたが、「時計」というアイテムは用途がありながらも僕の目指す世界を追求しやすいものだと思えて、今回のように造形遊び方向や、レリーフ的な時計とかいろんなバリエーションを創って行こうと思っています。今回はその第一弾。
この作品に使った突き板はシルキーオークと呼ばれるもので「オーク」と付きますが、ナラの仲間ではなく「ヤマモガシ科」という分類だそうです。オーストラリアなどに分布する木でご覧の通りの太い髄線(斑)が珍重される木です。この突き板はバブルの絶頂期にとある銘木屋さんがイタリアから輸入したもので不景気で会社をたたむ際に僕のもとにやってきたものです。イタリアは突き板の染色の技術が高く、このグレーと紺色は染色によるものなんです。「こういうものは国本さんくらいしか使いこなせないから、、、」といただいたこの突き板を、やっとこうして快心の作品に出来て、ほっとする自分がいます。この素材に託された想いにやっと答えられたからというところでしょうか。
この突き板を市松にまとめて、貼付けるベースは
ラワンベニアの2、5ミリ厚を5枚プレスしたもの。
だから断面もきれいでしょう?「なんだ、合板か?」なんて言わせない美しさがあると思っています。
盤面が出来上がったら、原寸を貼り、
ほぞ穴を空ける機械で角穴を掘ります。
裏をしゃくって、肉厚を薄くして、穴の後ろの空間を見えやすくします。
角棒にペーパーを貼ったもので穴の外周を慎重に仕上げ、
そして、面取りですが、12個の角穴の4辺で表裏ですから、一枚の盤面で96辺の面取りになるわけで、なかなかしんどい、、、。人を感動させる上質さには手間が省けません。
木地が仕上がったら、塗りの段取りです。
10ミリのダボに8ミリのダボを入れたものを作り、
ランバコアに立てて、ここに盤面をパコリとはめれば
裏をまず塗って、くるりと返して表もすぐに塗れて塗りが能率良く進みます。
下塗り2回、上塗り2回で膜厚を控えめにしてわずかに木の凸凹を残すようにして、プリントに勘違いされないようにします。
完成して写真を撮ろうとしたら予想外の展開が待っていました!白い壁が背景だと角穴の視認性が悪いということが解ってしまいました、、、、。これには困りました。
一時間ほど考えて出した答えは、
裏からメラミン樹脂の黒い板を当てること。小さな木ねじ4本の固定ですから、壁の状況次第でメラミンを外して使うのも一興です。
メラミンを当てて視認性は良くなりました。良かった!
さて販売の作品です!
お買い上げいただきました
針は色に関わらずすべてアルミで出来ていますので、秒針がいやな方は簡単にニッパで切ることができます。
ご希望であればこちらで切ります。
お買い上げいただきました
お買い上げいただきました
これは突き板ではなく、残り少ないイタヤの無垢材から切り出したものを使いました。キラッキラの木目に見飽きることがありません。
角穴の視認性がいいので黒のメラミン樹脂板は当てていません。
45ミリ厚の板から5ミリ厚ほどに切り出したものを削り込んでゆきます。
機械を通したら逆目が0.5ミリほどの掘れになってしまうので、これがなくなるまで鉋で削ってゆきました。
そして、最後はなんと!!!
お買い上げいただきました
ブックマッチとは厚い板を切り出してゆく時に隣り合った板を木目が対象になるように並べたものをいいます。本を広げたような形ということです。
(角穴の視認性がいいので黒のメラミン樹脂板は当てていません。)
これは白樺朽木の最後の手持ちから創りました。今度創れるのはいつになることでしょうね、、、。
この他ニレの杢も切って並べてみたのですが、
ブックマッチの効果が弱くて断念。
もうひとつとっておきの白樺の股杢も切ってみましたが、
機械に通したらぼろぼろになって、これまた断念と、あれこれ紆余曲折な制作ではありました。
作品をご希望の方は青文字のタイトルをコピーしてメールを下さい。
送料は参考までにヤマトで関東が860円、関西が1170円、九州で1490円となります。
(ピントが合っていない写真でお恥ずかしいのですが)この4週間で約140点の作品を夢中になって創っていました。
今年に入って9月まではまずまずの忙しさだったのですが10月は予約が少なく、あれこれ考えた末、ここは寂しくなっているショップの作品を一気に創って新たな出発をしようと考えたのです。
腕時計屋さんとの出会いもショップのペンスタンドがきっかけでしたし、小さな積み重ねがまた新たな出会いを生んでくれるでしょうし、僕にはそれしか出来ませんしね。
そんなわけでショップには時計、マグネット、フォトフレーム、ペンスタンドの4アイテムがサムネイルからリンクしています。お時間のある方はご覧下さい。
ソネブロの方には訪問もせず失礼しています。こんな近況でした。
電波時計のムーブメントイイですね!
陶芸を始めた当初作ったのがあるんですけど、
チクタク音はするし、時間は少しずつ狂うし、、、
でも愛着あるんですけどね。
実家で学生時代に買った突板が出てきたんです。
何かに使えないかなぁと考えていたんです。
でも、こうしてkuniさんの作品見てると、
やっぱり私、無垢のが好きです^^
by みち (2013-11-11 00:51)
優しくて、カッコいい時計が出来ましたね。^^
by hatumi30331 (2013-11-11 09:34)
私が作って頂いた時計とはまた異なった魅力がありますね。
このグレーと藍色は染色によるものとか、
いかにもイタリアらしいなと思いました。
by 青い鳥 (2013-11-11 17:13)
これは時間があるときにゆっくり
見せていただかなくては、、そう思っています
気持の入り方、こだわりを
感じ、木に対する愛情が、どの作品も
疎かにしない、、
作品が、子供かも、なんて思います
愛されるお家に、もらわれていける幸せが
どの子にも訪れますように
by engrid (2013-11-12 16:46)
家族会議中 (^^)
by mipoko (2013-11-16 01:19)
kuniさん、がんばっていますね♪
10月はshopの作品作りに夢中でしたか^^
作品が増えれば、それだけまた
作品と人との出会いも増えますね♪
by めりー (2013-11-16 15:03)
こんにちは。
あたたかい日曜日です。そちらは雪でしょうか?
素敵な時計ですね。ゆっくりと時間が流れそう。
大きなものから小さなものまで多彩&多才ですね。
素晴らしいと思います。
by chalice (2013-11-17 14:28)
>みちさん、実家から突き板が出て来たって、さすがみちさんですねぇ〜。え!?やっぱり無垢がいいって、この時計の中でのことですか?写真でもわかるのかなぁ、、、?
>hatumi30331さん、「優しくてかっこいい」ってすっごく褒め言葉です!感動、ありがとうございます!
>青い鳥さん、そうですね、あのころからまたさらに成長しているっていうこともありますしね。木口寄せ木って、今でもまだやりたいとは思うけど、正直なところ、そのリスクと成果(お値段)のバランスは良くなかったかもしれません(汗)。作って食べてゆくにはそこはやっぱり重要で、、、。そこも違う「おもむき」の要因かとも思います。
>engridさん、はい、男にとって作品は子供でもありますね。だからずっと手元に置いておきたい気持ちもどこかにあります。でももちろん「巣立って」もほしい。
深い理解がやっぱり嬉しいです。
>mipokoさん、白髪の王子の原因はmipokoさんか!?なんて、汗、、、、。あはは。
>めりーさん、そうそう、出会いは大事ですね。めりーさん、元気!?
>chaliceさん、北海道はもう根雪かな?と思える状況になってきました。毎日マキストーブ焚いてるんですよ。
「多彩&多才」この一言、嬉しいです!
by kuni (2013-12-06 23:16)