木目彩色 [日々の出来事]
雨の多い日が続きますね。今日の札幌はいい天気で気温は25度近くまで上がったようです。
屋根の温度がもろに伝わる2階で事務仕事をしていましたが、半袖でも汗ばむほどでしたので30度近かったのだろうと思います。
昨日、納品した仕事です。クラフトに理解のある工務店さんで作家の展示コーナーに使う棚板です。
「ここに国本さんの作品を飾るんですよ〜」なんて言ってもらえましてね。気合いが入って一輪挿しで初めて実用化した着色方法をさっそく使う事にしたのです。
結果は見ての通り、本人もビックリの出来上がり!
最初は3色の提案をしたのですが、ナチュラルとの対比も見たいということで木地のままのものも入れて4色ということになりました。
これがね、、、とってもいい経験になったのです。
写真ではなかなか伝わらないかも知れませんが、上の3色と一番下の木地のものとでは圧倒的な差がありまして「もっと早くこの着色が出来ていれば、、、」と思う程でした。
人が物の状態に驚く時の要素に「素材が化けている」ということがあると思うのです。まるで木だとは思えない、でもよく見ると木じゃないとこんな表情は出せない、そんな状態ですね。それがここに来てようやく出来た気がするのです。そして今まではまだ化けきらせていない状態で勝負していたんだということも理解できました。
今までやって来たことは、まだ人の常識の範疇にあって、今回の着色の結果はそこからはみ出している。だから驚くのでしょうね。この気づきは僕にとってものすごく大きな出来事でした。
これからはこの手法を大きく発展させてやろうと思っています。
きれいでしょう?
箸置き、ペンスタンド、一輪挿しの新作 [日々の出来事]
「学長!これなんですか?」
「うしし〜玉手箱〜」
「え〜開けたら髪の毛がなくなっちゃうなんてなしですよ〜」
「まぁ、そりゃ大丈夫だと思うよ」
「なんかやな感じ、、、、」
「おー!!!なにこれ?かわいい!」
「ハイチュウ?って言った人がいたなぁ」
「あん!?」
「正解は箸置き♪」
「いや〜おっしゃれ〜!パッケージングがいいですねぇ」
「でしょでしょ!」
「だけどねぇ、これすんごい苦労したのよ、聞いて聞いて」
「長そうだけど聞きますか?」
マグネットの記事の時にopasさんが「箸置きにしましょうよ」なんてコメントがありましてね。そう言えば20年程前に作ってあまりの大変さにやめてしまった箸置きがあったのを思い出しまして、またやってみようかなと思ったのです。ただこの箸置きの制作はまず刃物の消耗が激しいのも大きな課題で、機械屋さんに話をしてみると、なんと運良く中古の刃があったんです。
板の接ぎ口を作るための刃なんですが、箸置きにするにはちょうどいい歯形なので譲ってもらいました。
で、もうひとつ大変なのはこのデザインは木材の木口をこの歯形で削りたいこと。そのためには巾方向に短冊状に切った材料を加工してゆくことになりまして、銘木の端材は棒状のものが多いので巾の広い材料がほとんどありません。となると
こんな風に小さなブロックを張り合わせて巾のある材料にしてから短冊状にして加工して行く事にならざるを得ないわけです。今回6種の組み合わせで計12樹種で作ったのですが、そのほとんどの樹種でこの行程が必要になってしまったために膨大な手間がかかってしまったわけです。ほんと途中でうんざりしました。
削り出した色違いの材を
こうして接着すれば箸置きの元ネタができる。金太郎飴の棒のようなものですね。
6種の組み合わせ。
これを約15ミリ角に切り出して、
まず長手を5度に切る。
次に木口も5度に切る
最後に上の面をカーブに削り出したら
あとはひたすらサンディング、、、。
#120、#240、#400と3段階にペーパーをかけるのですが、今回150個ほど作りましたからサンディングだけで3日かかって、げっそり。マグネットはすべての行程を機械化できるので単価が下げられましたけど、この箸置きは仕上げの行程の大半は手作業になってしまうのでマグネットの倍の手間がかかりました。
だからと言って単価は倍にはできないというのが20年前に苦しんだところなんですね。すっかり忘れてました、アホですね(笑)
ブラッドウッドと桑の組み合わせ。ブラッドウッドは南米産でクワ科なので色は違えどクワの組み合わせということになります。
ニガキと月桂樹。ニガキはキランキラン!
カリンとハリエンジュのこぶ。
カバこぶとウォールナット。
これはたった一組しか作れなかったクラロウォールナットとイチイの組み合わせ。
パープルハートとイタヤカエデ縮み杢。
「こりゃ楽しいですね!おまけにすごくプレゼント向きじゃないですか?どうしてこういう可愛くてかっこのいいものを今までださなかったんですか!?」
「だから言ったでしょう?すんごい手間がかかってうんざりするんだってば!」
「そりゃそうかもしれませんけどね、学長の作るものはね、ニュアンスとしてカワイイが足りなかったんですよ。でも今回は特にパッケージでそれが実現出来てますでしょう?そこがいい、実にいい!名作誕生ですなぁ」
「なんだよ偉そうに」
「わたしなんたって教授ですからな」
「ふ〜んだ」
「ところでだね、今日は一気に3種の作品の紹介で、次はペンスタンドなんだけどね。20個程作ったのだけどちょっとトラブルがあって12個がハネになって完成したのは8個6樹種なんだけどさ。どれも愛着があるのだけど、特に紹介したいのはシルバーオークの柾目のものなんだよ。
ヨーロッパのナラ材なんだけど、今までナラの髄線っていうのは大きな面で見せるには面白みが解るのだけど、小さなもので髄線を面白く表現出来なかったんだね。これが今回快心の出来映えになってやっとナラ材の小物での生かし方が解ったんだなぁ、、、。これが嬉しくてね。」
「おー!!!これはいいですね!!!ほんのわずかに柾目を傾けて髄線が放物線を描く様にしたわけですね!?いやこりゃすばらしい工夫です。座布団3枚ですなぁ!」
「でしょでしょ!? で、最後は超久しぶりの、そしてたぶんこのブログでは初登場の一輪挿し「Triad」
「ありゃ!?グリーンの木目!?こんな木があったわけじゃないですよね!?」
「ウシシー、そう見えたらやったぜ〜てな感じ。これね白とグリーンを年輪の一本おきに着色したんだよ。」
「えー!!!?そんなアホなことを!!!?」
「アホ言わなくてもいいでしょう?」
「いや、だって一本一本グリーン、白、グリーンって!?それはやっぱりアホでしょう!?」
「芯持ち教授、木工芸って言うでしょう?僕らはさ芸人でもあるわけよ。人が面白いと思う事を無限に追求してゆかないと飽きられるでしょう?」
「はぁ、そういう意味ではアホは褒め言葉ですかね?」
「いや、う〜んまぁそうとも言えるけど、、、なんかだまされたような、、、まぁ、こんなのもあるよ」
「ピンクと白〜」
「黄色と白〜」
「グレーと白〜」
「ウヒョー!!!これは新境地ですね!!!これは無限の可能性があるじゃないですか!?」
「そうそう、レリーフに使っても表現の巾がまた広がるしね。」
「しかしなぜこれもっと早くにやらなかったんですか?」
「いや、アータね、これ難しいのよ。年輪を一本一本吸い込みムラもなく、まるでこんな色の木があるかのごとくに着色するってね。これもう10年以上暖めていたアイディアだけど技術的に上手く行かなかったのさ。」
「え!?じゃぁどうして今回できたんですか?」
「えへへ、それだけはヒ、ミ、ツ。」
「私にもですか!?まぁいいけど、、、しかし学長、なんか今回はカワイイがキーワードになってますねぇ。これはいい傾向ですなぁ。今まで学長に欠けていた部分が開拓出来始めている気がしてきました。我が校の未来もちょっと明るくなってきそうですなぁ、、、」
「うん、そういうことにしよう〜」
木の箸置き [shop]
断面15ミリ角で長さ55ミリのふたつの樹種を組み合わせた箸置きです。
塗装はウレタンですのである程度の耐水性はありますが、水に付け置きにしたりゴシゴシとこすり洗いすると塗装は痛んでしまうので柔らかいもので優しく洗って下さい。
淡色の材がイタヤカエデ、焦げ茶の材がウォールナットです。
お買い上げいただきました。
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濃い色がカリンで淡色のものはハリエンジュ(2004年の台風で倒れた札幌の街路樹です)
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淡色の材がカバのこぶで濃い色はウォールナットです。
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コブに穴が多くたったひとつしか作れなかったクラロウォールナットと赤茶色の材はイチイです。
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鮮やかな黄色がニガキでもうひとつは月桂樹。ニガキはあまり退色しませんが月桂樹はブランデーのような色に変化するのが楽しみな材です。
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月桂樹に特徴的な縞のある個体です。
鮮やかな赤がブラッドウッドで南米のクワ科の樹。淡い色は北海道の桑。ブラッドウッドの赤は年月とともにやや退色し桑の方はブランデーのような渋い色味に変化します。
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写真ではパープルハートに色の濃い薄いがあるように見えますが、面の角度によって光の反射する方向が違うためにそう見えるだけで、同じ方向に向けて並べると
このように同じ程度の濃さであることがお解りになると思います。
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ご注文は青文字のタイトルをお知らせ下さい。
なお、僕の作るものは「商品」ではなく「作品」の意識で作っています。利益が大事なのではなく、木の魅力を精一杯引き出し、それによって癒され、力づけられることを願っています。どうか「商品」とは呼ばないようお願いいたします。
運賃は5個セットひとつであれば定形外140円で送れます。
口座番号のメモを同封いたしますので、到着後にゆうちょへまたは地方銀行(北洋銀行)
のお振込でお願いいたします。
JPエクスプレスの代引きも可能ですが、運賃はあくまで宅急便の料金です。
少々忙しく、発送までに数日いただくことをご了承下さい。