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アートな間仕切り壁「るすつ子どもセンターぽっけ」 [木のレリーフ]


 ご無沙汰してしまいました。家具屋の仕事は5月から8月くらいまでが暇な時期でして、去年までは大工さんのアルバイトをしていたんですが、今年からはペンキ屋として働くこととしました。親友でペンキ屋の大将が誘ってくれたのです。4月の末から日数の7割はペンキ屋さん。窓台を白の塗りつぶしとか、巾木、手すり、はたまたコンクリートの欠けの補修部分の色合わせとか、いろんなことをしました。僕は自分で塗る家具屋ですし、アートの仕事では色も多彩に使いますから、素材が替わっても応用が効くものなんですね、自分でもちょっと発見でした。

 大工仕事も数日手伝う機会があったのですが、このふた月いろいろな現場を見てしみじみ思ったのは、仕事が取れてる業者と仕事の質はまったく関係ないということです。結局おおきな意味での営業力なんですね。こんな年になるまでそれが解っていませんでした。作り手の質の高さを解って仕事を出す人はごく稀なのだという事実にぼんやりする日々ではあります。それでもあきらめはしないでしょうが、また気力が湧いてくるにはもう少し時間がかかりそうです。




 さて、3月に終わった仕事でしたが、このブログを楽しみにして下さる方のためにアップしようと思います。

 札幌から車で1時間ほどの距離に留寿都という村がありまして、ひとつの建物に保育所、子育て支援センター、児童館などが同居する「るすつ子どもセンター ぽっけ」という建物に玄関スペースと遊戯室の間仕切り壁の仕事をさせてもらいました。

001、ルスツープレゼン.jpg

 高さ2メートル間口6メートルとなかなかに大きな空間です。「中央に大きな木があって、向こうの事務室からこちら側の遊戯室の子どもの様子が見えるように」という具体的なイメージを伝えられてデザインを始めたので、今回は抽象ではなく、子どもが楽しめるデザインにしました。

 手前左右の2本に幹だけがレリーフ状で
003、レリーフ、サンプルB.jpg
002、レリーフサンプル.jpg



 他はすべて羽目板と同じ様に平面の表現です。

004、サンプルC.jpg

 使った材はすべて北海道産のカラマツ材。

005、下地の合板と原寸.jpg

 原寸を貼った24ミリのランバの両面にカラマツを貼ってゆきます。


007、組み立て.jpg

 これは巨木の葉っぱ。間口いっぱいありますから全長5.8メートルありますが、運ぶ時は3分割にできます。


006、木地の完成.jpg


 これは着色する前のカラマツの素地の色。



008、巨木.jpg

 中央の巨木ですね。根の広がったところで3メートル近くありますが、これも運ぶ時は4分割。


 そしていきなり完成写真ですけど、、、。

009、「ルスツの森」.jpg

 玄関を入るといきなり森の中に迷い込んだような劇的な効果があって、これはまったく想像していなかったことでした。でもアウトラインをちょっとポップな味付けにしましたから、「なんだかとっても楽しそうなところに入って来た感」があるんですね。それが嬉しい誤算でした。


010、「ルスツの森」.jpg


 左が事務室で奥が遊戯室。こちらから見ると影絵的な効果もまた面白い。

 そして遊戯室側から見ると

012、「ルスツの森」.jpg


011、ルスツの森.jpg


 レリーフの場合は片面ですけど今回は両面見えるわけで、当然その仕事量も2倍。パーツの数がおおよそ700個あって納期に間に合うかドキドキするほど手間がかかりました。小さな突起はお祭りなどの時のために飾り付け用のフックです。

 巨木の左上に鳥がのぞいてますでしょう?この鳥がとても気に入ってもらえて、梁の上にも付けてほしいと追加注文をいただきましてね。


015、パパ鳥.jpg

 ね?上はパパ鳥、右下にフクロウさん。

018、フクロウ.jpg

014、パパ鳥.jpg

 これがパパ。




017、ママ鳥と子.jpg

 で、こっちがママと坊や。


016、ママ鳥と子.jpg



 ちょっと微笑ましいお仕事でした。




 またしばらくご無沙汰ごめんなさいなkuni となります、すみませ〜ん。





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みち

贅沢な間仕切りですね。とっても可愛らしいです。
平面なのに立体的で、裏からの影絵も素敵ですね。
小鳥が追加になったのも分かります。

イイ仕事をすれば、仕事が貰える。そう信じていたいです。
by みち (2015-07-01 22:14) 

POKO

もうもうもうもう凄い!
ホントいいわぁ~♪
kuni最高!!
by POKO (2015-07-01 22:50) 

hatumi30331

素敵!
いい仕事ですね〜〜♪
このなとも言えない柔らかい感じが大好きです!^^
by hatumi30331 (2015-07-02 07:29) 

ヘルミーネ

アップ、ありがとうございました。
こんな素敵で温かく、わくわくするのにさりげない物のそばで生活したいな~と、子どもセンターに集う人たちがうらやましくなりました。

作り手の質の高さで頼むところを選びたい気持ちがあっても、事前にそれを知る手段が限られてると思うのは私だけでしょうか。結局、知る努力が足りないということなのですが。
by ヘルミーネ (2015-07-02 11:10) 

トックリヤシ

いいお仕事でしたね~。
楽しく仕事も捗ったのではないでしょうか~^^
by トックリヤシ (2015-07-02 14:38) 

ヒャックマン

可愛いですね、絵本の中に迷い込んだ様な感じですね!
ところで、鉋ブログ削除されましたか?少し前からまた読み返そうっと思っていたのですが、アクセスできなくて!
by ヒャックマン (2015-07-02 15:25) 

kuni

>みちさん、「イイ仕事をすれば、仕事が貰える」残念ながら世の中の態勢はおおむね違うようです。お付き合いとかツテとかバックマージンとか、あの手この手がやっぱり強いのだろうと思いますよ。塗りも左官も家具も建具もみんな「なんだかなぁ、、、」な仕事をいっぱい見る機会がありましてねぇ。そう思ったんです。
 それでも僕はやり続けると思いますけどね。

>POKOさん、ホッホー!Kuni最高〜!あはは。

>hatumi30331さん、気に入っていただけました?ご無沙汰してます、すんません。

>ヘルミーネさん、お久しぶりです。「事前にそれを知る手段が限られてる」そうでしょうねぇ。良い仕事を理解してもらうには比較として悪い仕事を引き合いに出さざるをえないでしょう?でもそれってなかなか公にしづらいですよね。へたをすればバッッシングされちゃいますしね。難しい問題です。

>トックリヤシさん、お久しぶりです。楽しいと思えるのはほんの一瞬でとにかく切羽詰まってました。こんなに働いたのは何年ぶりかというくらい良く働きましたよ!

>ヒャックマンさん、鉋のブログは削除しました。いろいろと考えることがありましてね。でも1年以内に再開しますよ。究極の真実を持ってね。
by kuni (2015-07-02 20:44) 

めりー

森の中にいるみたい♪
鳥のさえずりが聞こえてきそうです
by めりー (2015-07-02 21:15) 

engrid

これはこれは、玄関を入った途端に
わぁ〜〜、ってしばし足を止め、眺めます
そして、ふくろうに、親子の鳥たちをみつけて
嬉しくなって、見た、ねぇ〜見つけたって
声を出します、次にすることは、そっと触って見ること、木の感触を直に触れてみたくなると思うの、これはいけないことかな、、、遊び心と優しさw感じられる作品、素晴らしい、そして、職人魂!Nice!です
by engrid (2015-07-03 17:44) 

kuni

>めりーさん、そうでしょう?自分でもそうおもえたんです。
めりーさん、大丈夫。進もう!

>engridさんの感性ってほんとステキです。感謝してます!
by kuni (2015-07-04 12:59) 

MIKUKO.

先日、私の方に頂いたコメントで、
kuniさんの生活スタイルが今そんな感じだと知りましたが、
何かとそれなりに大変なんですね…。
それに比べたら私なんてただの怠け者。

しかしながら、
鳥が覗いている遊び心、イイですよね~最高♪

勿論、製作は大変なんでしょうけど、
イメージしてデザインして、それを具現化する為に設計して・・・
っていう段階も大変なんでしょうね。
だって寸法にも狂いは許されないわけで。
あ、そっか、ベテランkuniさんにそんな心配は無いか (^^ゞ

何はともあれ、寒暖差が激しいので、
体調を崩さぬよう頑張って下さいね ^^
by MIKUKO. (2015-07-04 17:17) 

opas10

kuniさん、暫く更新がなかったので案じておりましたが、お忙しかったのですね。留寿都ですか、昔よくスキーに行きました。間仕切りに鳥の家族!こういう遊び心は、利用者を和ませるし、kuniさんの仕事のひとつの特徴ですよね~。
by opas10 (2015-07-05 15:32) 

kuni

>MIKUKO.さん、「なまけもの」?って、そんなことないでしょう?(笑)
 良い仕事をするということが商売にはまったく結びつかない、時代も悪いんでしょうけどね、いまだにその解決策が見えてきませんわ(笑)
 だんだん経験を積むとあっちこっちに誤差を逃がす工夫もデザインに織り込めるようになるんです。
 そうそう、最近の寒暖差ってけっこうとまどいますね。数日前も軽くストーブを焚きましたよ。え?盤渓って高いでしょう?平地より寒いんです。

>opas10さん、お久しぶりです。案じて下さいましたか?すみません。留寿都によく行った?あそうか、室蘭からだと案外便利っていうことですかね。

by kuni (2015-07-05 15:55) 

浜松自宅カフェ

そもそも「良い仕事」って何でしょうね?
安い物を売る人にとっては単に安く作れる人だし、価値をわかるお施主さんに適正な価値で買ってもらえる人には、お施主さんが要求する物を作れる人だと思います。
つまり、「営業力」って知って欲しい人に知ってもらうことだと思います。
などと偉そうに書きましたが、常々悩みながらそんなことを思っています。
頑張りましょう!
by 浜松自宅カフェ (2015-07-06 09:05) 

kuni

>浜自カフェさん、お久しぶりです。「大きな意味での営業」って、ブログには書きづらいことなんですよ。バック○○○○とか、ご機嫌○○とか、お付き合いとか、そういうことが上手な人ってやっぱりうまく商売してるんだなぁ、、、と。
 あきらめないですよ。
by kuni (2015-07-07 08:19) 

青い鳥

お久しぶりでございます。
nice!も押さずにではありますが、ずっとブログは拝見していました。
やっとコメントをかける時間を持てました。
お元気にお過ごしのご様子、嬉しいです。
いつもと変わらぬ夢のある素晴らしいお仕事をなさっていらっしゃいますね。
ここで育つ子供たちは本当に幸せです。
感性豊かに育つこと間違いなしですね。
私はやっと1年ぶりにブログを更新しました。

営業力・・・仰るような面があるのは厳然とした事実ですね。
でも、それにめげずご自分の理想を貫き通すのが
kuni様でしょう。
負けずに頑張って欲しいと念じています。
by 青い鳥 (2015-07-19 15:51) 

スミッチ

間仕切り壁いいですね。わくわくする感じがします。
鳥、シンプルな線ですが、お腹が白いのとか、尾羽ラインとかいいですね。フクロウ、お腹に時計があったらいいなと思いました。
営業、そういう現実を知るのもいい機会だったのではないでしょうかね。
by スミッチ (2015-07-30 18:31) 

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