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オンタイムプロジェクトー2 「ウォッチスタンドーその2とフォトフレーム、ペンスタンド、一輪挿しなど」 [オンタイムさんのお仕事]

 

001、ウォッチスタンド「Moon」.jpg

 芯持ち教授、なんだか頬が赤らんでないかい?

 「え?ええ、なんだか女の子に囲まれているような、、、。どうしてでしょう?

 学長、このウォッチスタンドのコンセプトはどんな感じなんですか?」

 「Moon」でしょう? 月のうさぎのお耳がヒューンでぴよぴよ~って飛んでく感じ?

 「は!?」

002、ウォッチスタンド「Moon」.jpg

 だってそうなんだよ、思わずナデナデしたくなるようなビミョーなカーブの物を作りたかったんだよねぇ、、、。

 それでさぁ、この形を考えて材料を買い出しに行ったらね、もうイメージに最高!って材を見つけちゃってさぁ。

003、アテ材ー1.jpg

 この年輪の傾きと色のコントラストがもう、ガッツポーズ!って感じだったんだよ!

004、アテ材ー2.jpg

 この色の濃いところの入り方といいさぁ~。

 「一目惚れだったんですね?」

 うん。作り方見る?

 「ええ」

005、ウォッチスタンドの製作工程ー1.jpg

 まず上から見た三日月の形にバンドソーで切り出して、

006、ウォッチスタンドの製作工程ー2.jpg

 切り捨てた部分を一旦テープを貼って戻して、横に倒して、今度は正面から見たえぐりのカーブを切り出すんだよ。

007、ウォッチスタンドの製作工程ー3.jpg

008、ウォッチスタンドの製作工程ー4.jpg

 これで2方向からカーブに切ったでしょう?生まれるよ~

009、ウォッチスタンドの製作工程ー5.jpg

 「おおー!!!」

 

010、ウォッチスタンド「Moon」.jpg

 「なんとも言えないカーブですよねぇ、、、」

 

011、ウォッチスタンド「Moon」.jpg

 「そうか、だから時計がリラックスしているように見えるんですね?」

 さすが教授、いい感性してるねぇ。

 

012、ウォッチスタンド「ニョキ」ー1.jpg

 「うぉー!これはなんですか!?これもウォッチスタンドですか!?」

 うん、「ニョキ」ってタイトルでさ。春だしね、チューリップの目がニョキって出たような感じ?

 「う~ん、モノ作りの発想ってそういうもんなんですかね?」

 そうそう、そんなもんさ。

 

013、ウォッチスタンド「ニョキ」ー2.jpg

 「うほー!なんという斬新な!」

 でしょでしょ。先端のフックの部分、ちっさいんだぞ~。

014、ウォッチスタンド「ニョキ」ー3.jpg

015、ウォッチスタンド「ニョキ」ー4.jpg

 厚さ1.6ミリ、幅3ミリ、長さ17ミリってところかな。右の四角の角はサンドペーパーでシコシコって丸めてさ。

 でね、ベルトが通ってるところがさ、

 

016、ウォッチスタンド「ニョキ」ー5.jpg

 時計に合わせて3箇所で止められるんだけど、このパーツがね、

017、ウォッチスタンド「ニョキ」ー6.jpg

 上の板の木口を見ると3層になっているのが解るかな?手前に約0.9ミリ厚の板があるでしょう?この目の向きは手前から横、縦、横と並んでいるだろう?これをこの向きのまま接着するとウx-ルナットの合板になる。

018、ウォッチスタンド「ニョキ」ー7.jpg

 これを一枚の無垢で作ってしまうと溝の端のところが弱くて折れちゃうんだよ。でもこうして合板にすれば指では折れないくらい丈夫なんだなぁ。

 「ほー、学長、ただの変態じゃないですね!?」

 あのね、、、

 

 

 

027、オンタイムのウォッチスタンド.jpg

  さて「バンブー」

 

031、「オバキュー」.jpg

 「オバキュー」

 

011、ウォッチスタンド「Moon」.jpg

 「Moon」

 

013、ウォッチスタンド「ニョキ」ー2.jpg

 「ニョキ」の4種類でウォッチスタンドが出揃って、後は時計のデザイナーの説明を入れるフレームだよ。

 

019、イタヤ縮杢のフォトフレームー1.jpg

 2Lサイズのフレーム。材料はイタヤカエデの縮杢。クセのないデザインで木味だけで飾ってあげる感じかな?このフレーム垂直に立っているんだよ。しかも縦横自在というご要望でね。ちょっと苦労したなぁ。

 

020、イタヤ縮杢のフォトフレームー2.jpg

 裏にね、木口にしゃくりのある正方形のベニアが付いていて、後ろのブロックのスリットに縦横どっちの方向にもスライドしてはまる仕組みになっているんだ。

 

021、イタヤ縮杢のフォトフレームー3.jpg

 「やりますね~」

 

 

022、ドライバー置きー1.jpg

 これなんだかわかるかな?

 「いえ、まったく」

023、ドライバー置きー2.jpg

 上から見るとこんな。

 「ひょー、ひそかに目がくらむような木目ですね」

 修理工房の待合スペースはデスク周りの雰囲気作りをするんだよ。で、なんとな~くイメージしているのは木目も好きな時計職人さんのデスクでね。だからこれは

024、ドライバー置きー3.jpg

 ドライバー置き。

 「ははぁ!」

 で今度はちっちゃいパーツ入れ

025、パーツ入れ1.jpg

 ほんとはガラスのフタを置くんだけどね。

026、パーツ入れ2.jpg

 昔作ったレリーフを改造したんだよ。

 

 あとは販売用の小物のペンスタンド

027、木のペンスタンドー1.jpg

 2枚の板が中央で貼り合わせてあって、左の面は木の中心側だから「木裏」と言って、右の面が木の表側なので「木表」

 

029、木のペンスタンドー3.jpg

 こっちが「木裏」面で、

 

028、木のペンスタンドー2.jpg

 今度は「木表」面。この木目の違いと補強のウォールナットの段々がテーマでなおかつ注文してくれた人の愛称からタイトルが「Dan」。

 

030、木のペンスタンドー4.jpg

 「底板はペン先に優しいコルク貼りに短いペンが入り込まないように仕切り棒付きってね。」

 良くできました。

 (ペンスタンドの詳しい製作工程はこちら)

 http://seisakunohibi.blog.so-net.ne.jp/archive/c2301946686-1

 

 

それからフォトフレーム。

031、イタヤカエデ変り杢のフォトフレームー1.jpg

 イタヤカエデの杢なんだけど、今まで何千枚のイタヤを見てきたけど、こんな杢は初めてなんだよ。玉目の変わり種なんだけど

032、イタヤカエデ変り杢のフォトフレームー2.jpg

 こんな杢に対する呼称がないんだよね、、、。

 「ほんとですね、泡が吹いているような不思議な杢ですねぇ」

 

033、カリン瘤のフォトフレームー1.jpg

 「えーーー!!!?これなんですか?」

 カリンの瘤なんだけどね。

034、カリン瘤のフォトフレームー2.jpg

 初めて見る粒の細かさでねぇ。あちこちに入皮があって歩留まりが悪くて大変だったんだよ、これ。

 「いやーこれ半端じゃないですよ!」

 うん。

 (特注のフォトフレームの制作記事はこちら)

http://seisakunohibi.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302288721-1

 

035、凛.jpg

 「ドひゃー!!!凄い面々じゃないですか!?」

036、木の一輪挿し「凛」トチ縮杢ー1.jpg

 ここまでの栃の縮杢は経験がないね。最高記録じゃないかな?こっちが板目の面で次が柾目の面。

037、木の一輪挿し「凛」トチ縮杢ー2.jpg

 「あわわわわわ、、、、、確かに、ここまでのものを見るのは初めてです!」

 

038、木の一輪挿し「凛」ニレ杢ー1.jpg

 これはね、いわくつきの材でね。2004年の台風がひどかった時にH大のキャンパスで倒れたニレの木でね。市民に配布した時にもらって来たんだよ。樹齢100年以上っていう話だったから、ということはH大のキャンパスがまだ原野だった頃から生きて来た木ってことなんだ。ということは札幌の歴史の証人ってことなんだわね。

039、木の一輪挿し「凛」ニレ杢ー2.jpg

 「こっちは柾目の面。どの面にもそれぞれに表情がありますねぇ、、、。」

 そう、それがこの一輪挿し「凛」のいいところでしょう?

 「ええ」

 

040、木の一輪挿し「凛」ブラッドウッド.jpg

 この世でおそらくもっとも赤い木、ブラッドウッド。

 「これねぇ、着色じゃなくて生の木の色だってみんな信じないんですよね。」

 「初めての人はびっくりするよね」

 

041、木の一輪挿し「凛」ハリエンジュ.jpg

 今度はハリエンジュ。札幌では街路樹のニセアカシアと言った方が馴染みがあるけど、正式名称はハリエンジュでその瘤。

 「学長、これどうやって手に入れたんですか?」

 これねぇ、2004年の台風で倒れた街路樹だったんだけど、これも市民に配布した時のものでね。その配布所であまりの太さと重さで誰も持って行けずに最後まで残っていたんだよ。でもそれはたくさん瘤が付いていてね。友人がそれを見つけて電話してきたんだわね。で行って大きくてビビっちゃったんだけど。そこにいた人が手伝ってくれてね。6人でやっとの思いで積んでこれたんだよ。

 「6人でやっとですか!?」

 そう、しばらく腰が痛かったなぁ、、、、。

 最後は、

042、木の一輪挿し「凛」マーテルバール.jpg

 「ギョー!!!」

 マーテルバール=月桂樹の瘤。超ー超ー超ー珍品!!!突き板(ベニヤに貼り付ける薄皮)にするには小さくて、小物様に製材されたものだね。たまたま手に入ってたった一個だけ取れたんだ。たぶん二度と作る機会はない気がするなぁ。

 一輪挿し「凛」の詳しい製作工程はこちら)

http://seisakunohibi.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302537687-1 

 これで、ウォッチスタンドと待合の作品の全てだよ。

 「なるほど、小さなスペースにありったけ濃密な展示にしたかったんですね?」

 そうだね。

 「いやー、しかし銘木屋さんでもなかなか見られないものがこうして出揃うとは凄すぎですね!?興奮し過ぎてちょっと疲れました。」

 あはは。そうかい?。腕時計屋さんの店舗でしょう?金属とガラスという硬い素材が主体の展示なわけだよ。そこに柔らかい素材でしかもゆらぎのパターンを持った素材でしょう?その対比でどっちもが新鮮に見える効果が期待できるんだよね。しかもその内容が半端じゃないとなれば、その店舗の評価は高まるはずでしょう?そういうお役に立てればってことだよね。

 「なるほど!」

 


 

 

 さて、次はいよいよレリーフの連載です。お楽しみに!

 

 今回製作したフォトフレーム、ペンスタンド、一輪挿しを数点ショップにアップしました。

 ご興味あればご覧下さい。

 http://seisakunohibi.blog.so-net.ne.jp/2012-07-11

 

 

 

 


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コメント 11

COLE

新しい作品の数々楽しみにしています
by COLE (2013-05-26 21:51) 

みち

コンセプト、大事ですね。そこに時間を掛けるkuniさん、流石!です。
ウォッチスタンド、平置きのも綺麗で素敵ですが、バンブーやオバキューは省スペースってこともあるでしょうが、時計を腕にした時のイメージがし易くてイイですね。木目の個性も光っています。
学生の頃作った安楽椅子の脚を丸棒にしたくて旋盤に挑戦しました。なかなか寸法通りにならず苦労しましたが楽しかったです。けど、時間が掛かり過ぎてしまい、提出の日に脚しか出来なかったんですけどね^^;
(さっき、テレビの美の壺でその時の教授が出てきて、久しぶりに姿を見て懐かしくなりました^^)
横浜なら見に行けそうです。誰でも入れるんですよね?レリーフの記事も楽しみにしています♪
by みち (2013-05-27 00:06) 

浜松自宅カフェ

いやー、参りました!降参です(笑)
kuniさんが目指すものとそれを必要とする人が
一致してきた感がありますね!
いよいよブレークしますか?
by 浜松自宅カフェ (2013-05-27 09:35) 

青い鳥

こんな素敵なウォッチスタンドに飾って貰える時計、
幸せですね。
自分のデザインの説明を他では絶対に見られない
フレームに入れて貰えるデザイナー、
そして、修理用のドライバーを専用のドライバー置きに乗せ、
見失っては大変な細かいパーツも安心してレリーフおパーツ入れに置きながら仕事ができる時計』職人さん、
また、待合スペースでそれらを眺めることのできるお客さん、
これら全ての人達が幸せを感じられる作品群だと思います。
いつもながら素晴らしいですね。
by 青い鳥 (2013-05-27 13:13) 

KAZUYA

ウオッチスタンドの「ニョキ」いいですね(^-^)

ドライバー置きも凄くいい雰囲気で、さりげなく
こういう什器あるお店って楽しいでしょうね♪
by KAZUYA (2013-05-27 15:21) 

engrid

いつ見ても美しい木目が生かされた作品です
Moonの曲線、説明されてもマジックのようで、
ただ、凄いわって思うばかりです
ニョキ、いいですね
時計がひときわ引き立つように思います
そして、小物たち、、
美しいだけでなく実用を伴う、そこに差kuniさんのこだわりを感じています、使われてこそ、作品がより生きてくる、そうですね
by engrid (2013-05-27 15:53) 

chalice

こんばんは。
木目がキレイです。流石プロ。
つるつるの木目を触ってみたいです。
by chalice (2013-05-27 20:32) 

opas10

こりゃあマチガイなく横浜でkuniさんがブレイクしますよ!関西から応援しています。
by opas10 (2013-05-28 21:49) 

hatumi30331

何とも言えない柔らかな曲線・・・・
時計とマッチしてますね!
これからの展開が楽しみですね。^^
by hatumi30331 (2013-05-29 08:20) 

kuni

>COLEさん、はいお楽しみに~

>みちさん、コンセプトってほんと大切です。「指標」と言い換えられるでしょうか?デザインに迷った時もその指標に照らし合わせれば方向性が見えて来る。
 実はね、この4年ブログでやって来たことって、自分のブランディングだったんだとしみじみ思うのです。だからそれと照らし合わせれば一丁前のことが言えるようになったんだなぁってね。
 旋盤!?そうそう、僕も学生時代はほとんど旋盤小僧だったんですよ!あはは。

>浜松自宅カフェさん、あはは降参!?理屈っぽい浜自さんもうならせられたとしたら大したものかな?(笑)ブレークしたいなぁ、、、。

>青い鳥さん、今回のプロジェクトは気合が入りましたからコンセプトからデザインまでものすごく時間をかけました。おかげでかなり上質なものができたかな?と思います。

>KAZUYAさん、ニョキ、いいでしょう?ただね先端の木目の向きを真っ直ぐにするために材料の巾が必要でね、その結果木目の表現はほとんどできないのですよ。そこがかなり課題なんです、、、。

>engridさん、moon、いいでしょう?あの形が今回一番気に入ってるんです。

>chaliceさん、はい、あなたのお肌みたいにツルツルですよ~って、また石にされちゃう?(笑)

>opas10さん、もういい加減ブレイクしないと現役が終わっちゃいますよね(^_^;)。

>hatumi30331さん、いい曲線って手にも心にも優しいんですよね。だからそれはいつも大事にしています。
by kuni (2013-06-03 09:25) 

カエル

美しい!
by カエル (2013-06-30 00:03) 

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