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ラワンランバでお仏壇!? (特注のローコスト仏壇) [ローコストのお仏壇]

 

 お久しぶりです。あいかわらず低空飛行を続けるkuniです。すっかり訪問もさぼってしまい、申し訳もないです。気持ちにゼンゼンゆとりがありませ~ん。

 そんな中、親友Oの叔父さんがなくなって、仮の仏壇がほしいとの依頼がありまして、、、。予算は片手で数えられるというきびしい条件。「ミカン箱でいいぞ」とか言われても、まさかほんとにそうするわけにもいかず、、、。一晩考えて翌日、朝から建材屋さんの倉庫に出かけました。

001、ラワンランバ.jpg

 買って来たのは、ラワンのランバコア。厚み18ミリでドアサイズ(3×6尺)が2700円ほど。表面がラワン材の合板は合板類の中で一番安く、最低ランクと言っていいでしょう。この手の合板はおおむね下地として使われる場面がほとんどです。

 そんなラワンランバをなぜ仏壇に?と思いますよね。写真のランバは100枚以上の中から選びに選んだものでして、手前の角が濡らした色、それと手前と奥に2箇所、縮み杢がうっすら見えるのがわかるでしょうか?

 ラワンの仲間はまだ豊富にあるので単価は安い、だからと言って木目に価値がないかというと中にはけっこうきれいな玉杢や縮み杢があったりするので、それを捜しに倉庫まで行ったわけです。

 

 濡らしたとはいえ、ラワンの生の色では、あまり心を動かす美しさにはなりませんが、木目が高級材であるマホガニーに似ているので、それらしい色に着色してやると「およよ?」という化け方をするのがラワンのいいところ。

 それが次の写真です。

002、ラワンにマホガニー色.jpg

 ね?縮みがはっきりと見えてきたでしょう?

 完成は、

003、特注のお仏壇.jpg

 天板にも縮みが見えるのですけど、わかるかな?

 このお仏壇、とっても小さい。間口30センチ、奥行き25センチ、高さ40センチ。

 予算もないことに加えて、3日で仕上げなくてはいけなくて、材料費も手間もどっちもおさえなくちゃけませんでした。それでもやっぱりkuniらしい、いい仕事はしてやりたい。そこで考えたのがラワンでマホガニーのような高級感を出すこと。もうひとつの工夫はつまみと天板の面。

004、つまみ.jpg

 つまみはただの角棒にしゃくりを入れただけ。

 裏から見ると、

005、つまみの固定.jpg

 こんな風に三角の切り込みにはまっている。でも手間が最低の割りにはデザインとしてはイケてるでしょう?

006、つまみと面の形.jpg

 そして、天板の面とこのつまみを「傾いた四角」という、共通項にしたわけです。こんな面取りは初めてなんですけど、大成功でした。ウシシ。

007、ラワンランバでお仏壇.jpg

 金物はもっとオシャレなものを使いたかったのですけど、予算上無理でした。

 その代わり、引き出しの口板は精一杯いい杢を、

008、ウォールナット股杢の引き出し.jpg

 ウォールナットの股杢!

 きれいでしょう?

 先ほど、親友Oが取りに来て、ぶっ飛んでました(笑)

  「おれが入るわ!」ですって!?

 

 

  親友Oはペンキ屋で、弟子もいる。そのふたりに見せてやりたかったのです。ラワンといえども扱い方次第で十分に見ごたえのあるものになるってことをね。特に弟子には知ってほしかったのです。

 時代とともに良材がどんどんなくなってゆきますし、不景気のせいもあって高級材の仕事は減っています。僕が若い頃はマホガニーの仕事って数年に一度くらいはやっていましたけど、この19年、仕事では一度も使う機会はありませんでした。

 そんな状況ですから、今の若い職人で知っている者はほとんどいない。「ラワンでマホガニーのような高級感を出す」って言ってもその実感がわかないでしょう?だから現実に見せてやりたかったのです。「こういうことだよ」ってね。

 いろいろな制約で職人が育ちにくい時代ではあります。でも僕らの世代がなんの努力もしないで10年後「最近の若い職人はものを知らん」なんて言ったら、天に向かってつばをはくようなものです。今出来る範囲の小さな努力が次の世代をどう伸ばすかにつながるのですから、何もしないわけにはいきません。

 そんな背景のラワンランバで仏壇!?なのでした。

 

 

 親友Oは満面の笑顔で「ありがとう!」と言って帰ってゆきましたとさ。

 

 おしまい。

 

 

 まだしばらく、ご無沙汰ごめんなさいが続きます。


 でもね、不景気でなんて、つぶされてたまるか!

 這ってでも前に進むぞ~w!


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コメント 21

mipoko

出来る範囲で全力を尽くす!
本当にkuniさんって人は素敵な人だっ♪(^v^)
by mipoko (2012-01-16 06:10) 

寂光

おはようございます。
毎回記事はしっかり拝読させて頂いていますが、
なかなかコメントを書くことが出来ずスミマセン。
昔から宮大工の著書を読むのが好きで何冊か読んできましたが、今、また新たな本を読んでいますが、kuniさんとブログで出会ってから宮大工が木について語る事の意味合いが少しだけ深くわかるようになった気がします。
昔の人たちの技術、精神、知識、現代人を遙かに超えていますね。
その先人の技術を継承することの出来る人たちはとても貴重ですし、絶やしてはいけませんね。
kuniさんも作る物は違うけれど、その精神の一端を担ってい、しっかりと実行されていますね。
何も出来ず力にはなりませんがkuniさんを応援しています。
by 寂光 (2012-01-16 07:05) 

hatumi30331

さすが!kuniさんにかかると・・・・
どんな素材も素晴らしく変身するんですね!
きっと、ここに入られる方も、毎朝この前で手を合わされる方々も・・大満足だと思います。^^
これからも・・・マイペースで・・・
ステキな作品をお願いします。
by hatumi30331 (2012-01-16 08:32) 

しょうたく

お見事です!
by しょうたく (2012-01-16 13:32) 

青い鳥

今回のお仏壇、シンプルですが以前のアートマグネットのお仏壇とは異なった魅力がありますね。
それから、扉のつまみの工夫がたまりませんね。
とてもいい感じで扉の開閉が出来ると思います。
マンション住まいの方達にお勧めしたい小さいサイズのお仏壇、
予算に応じていかようにも、しかもこだわりのデザインをちりばめる事が出来るのですね。
私もこんなお仏壇に入りたいです。

by 青い鳥 (2012-01-16 13:48) 

yoko-minato

これはご友人は喜ばれたことでしょうね。
とてもシンプルでマンションでもオーケー
ですね。
我が家にも仏壇があるのですが置くところ
に苦慮しています。
by yoko-minato (2012-01-16 19:23) 

ポメラニアン

kuni様

な、なんと!!!ラワンが・・・
マホガニー調に・・・美しすぎます・・・
さすがぁー師匠だけあって見せてくれます。
粋ですよ本当に
また勉強させていただきました。
ご馳走様です。
旭川でも這いつくばるポメでした
by ポメラニアン (2012-01-16 20:42) 

yanasan

たかがラワン、されどラワン、ちょっとした一工夫で随分と変わりますね。
by yanasan (2012-01-16 23:03) 

みち

学生の時に一番最初に作ったのが、ラワン材のノックダウンティーテーブルでした。
今パソコンデスクになっています。
天端が傷だらけになって張り替えましたが、イイ味出てますよ!
シンプルで素敵な仏壇ですね。実家では、、、
マンション住まいですが、納戸のタンスの上置きが仏壇になっています。
小さ目で、そんなに高価でないものがちょうど合うかも?って思いました^^
取っ手もお洒落ですね!こーゆーの好きです♪
by みち (2012-01-16 23:42) 

かに吉

うん、なんだか心温まるお話ですね
満面の笑顔で喜ばれると、やってよかったーって ^^
by かに吉 (2012-01-16 23:58) 

レイリー

凄い。。。
とてもラワンとは思えない質感!
流石ですね~ kuniさんの人柄が凝縮されたような作品です。
予算が少なくても全力を尽くされる姿勢は様々な意味で見習わなければなりません。
それにしても素材抜きで大きさといい質感といい、私もこの仏壇が欲しいですね~
なにしろウチは激しく狭いので、もしも両親が他界して実家を引き払うとなると仏壇を設置するスペースが大問題になってしまいます。
コチラの作品は東京のような都会では意外にもニーズがあるんではないでしょうか。
今回も多いに唸らせていただきました (^^
by レイリー (2012-01-17 00:20) 

engrid

kuniさんの魂、職人魂のなせる技ですね
感激!
できる限りの範囲で、最高のもの、納得できるもの
を、創り上げていく、その心意気、すばらしいですね。受け継いでいく若い方々に、言葉でなく、実として見せること、それしかない説得力。職人たる所以の精神でしょうか、、心の込められたお仏壇、素晴らしい、、、故人の方へのなによりの供養になることと思います
by engrid (2012-01-17 17:28) 

碧蝉

皆さんが仰ってる通り、限られた条件の中で
出来得る限り良い物を!!という職人魂が
とても素晴らしいと思います・・・。
私も狭いマンション住まいですので、こういった
コンパクトであっさりしたデザインの物はこれから
需要が増えるのではないかと思いました。
いつか私にも訪れるであろうその時に、kuniさん
のこのお仕事を必ずや思い出すことでしょう。

by 碧蝉 (2012-01-17 23:29) 

Dandelion

限られた中でシッカリと最大限の結果を出す
ん~流石ですね。
いつの日か、ノビノビと予算を気にせず出来る
様になる事を目指して進みましょう♪

by Dandelion (2012-01-17 23:32) 

浜松自宅カフェ

素晴らしいプロの仕事です!
ラワンでもこれだけの表情が出るのが驚きでした。
by 浜松自宅カフェ (2012-01-18 01:01) 

nagi

すばらしいですね~。
ラワン材もこのように色が変わるのですね。面白い。
by nagi (2012-01-20 12:47) 

nao

またまた kuniマジック!!!

by nao (2012-01-20 15:34) 

opas10

作品もさることながら、「若い職人を育てる」っていう心意気がタマラないです!
by opas10 (2012-01-21 13:18) 

silverag

kuniさんの手にかかると、ラワンも幸せですね
by silverag (2012-01-22 10:15) 

COLE

末永く使ってもらえてこそ意味のある仏さまのうれしい気持ちが伝わる仏壇
いい作品がまたひとつできましたね
by COLE (2012-01-22 20:53) 

スミッチ

創意工夫で安いものでも高級感を出してしまうなんてさすがですね。残念ながら今のご時勢、そうゆう技術が評価されずらくなっているようですが、
眠そうなところ完成品見たら一瞬眼が覚めました
by スミッチ (2012-01-22 23:22) 

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